【連載】特活脳で深い学び 第1回 いじめの起きない学校づくり

東京都八王子市立弐分方小学校長 清水弘美

「特活脳」。これは造語である。話し合いの技術と工夫を楽しむ気持ちをもって、どんなカベも乗り越える思考回路のことである。

特別活動(特活)は教育活動の基盤を作る。小学校で子供たちは1日約7・5時間を学校で過ごし、その内授業は45分を6コマ、4.5時間である。残りの3時間は特活の時間といってよい。その3時間の中で子供たちは、実に多くを学んでいる。そしてその学びは、間違いなく子供たちの中に蓄積し、学校の風土を作り出している。これによって、学校は安心してすごせる良い風土にも、イライラする悪い風土にもなる。

現在、教育現場の大きな課題は「いじめ」である。いじめ撲滅キャンペーンがあちらこちらで実施され、いじめの原因について、さまざまなことがまことしやかに語られる。しかし、いじめはなくならない。いじめの原因には形がないのだ。あえていうならば、子供たちのイライラ感の集合体が、いじめではないかと私は思う。

学級会は子供たちが意見を出し合い折り合いを付ける場と時間。互いの意見を尊重してこその集団作り
学級会は子供たちが意見を出し合い折り合いを付ける場と時間。互いの意見を尊重してこその集団作り

ではどうするか。いじめをなくすたった一つの方法、それが特活である。いじめは集団の体質が生み出している。子供たちのイライラは多くの場合、満たされない思いや不安からくる。だとしたら、子供たちがたっぷり満たされ、不安のない学校にすればよいのである。いじめをガンのように外科手術で切り取ったり、放射線をあてて殺したりするのではなく、いじめの起きない集団の体質に改善するのである。いじめをたたく前に、自分のいる学校を楽しいところに変えていくことに目を向けよう。そしてそれができるのが、特活なのである。

特活は、子供の自己肯定感、自己有用感などに裏付けされた自尊感情を伸ばすことができる。自分たちの願いが生かされる活動を自分たちでやり遂げる経験をたっぷりさせよう。

それにはまず、学級会での話し合いの技術が必要である。議論のような力や数の論理での勝ち負けではなく、折り合いを付け、皆が納得するゴールにたどり着く技術である。この技術を学級全体で磨く過程の中で、自分を見つめたり、思いやりをもったりというトレーニングがなされる。

自分の意見が無視されない安心感、意見を生かされた友達のうれしそうな顔を見る満足感。そんな小さな経験が、子供の自尊感情を育てるのである。

子供主催の企画や実践の中に皆の思いを生かす工夫を詰め込み、皆で一緒に楽しいことをしよう。達成感を味わい、仲間を認め合う、そこにいじめの入る余地はない。