【連載】21世紀型スキルを育む 小学校英語 第1回 ますます重要性が高まる

eye-catch_1024-768_machida国際教養大学准教授 町田智久

小学校の教科としての英語教育の開始が、すぐそこまで迫ってきた。英語を通して子供たちに、どのような力をつけるべきなのか。小学校英語で育む21世紀型スキルについて考えていきたい。

グローバル化に伴い、国際・環境・経済問題は複雑化・複合化し、これまでのように明確な解答のある問題ばかりではなく、解答のない問題に対処する時代に入っている。アメリカではP21(非営利団体「パートナーシップ・フォー・21stセンチュリー・スキル」)が、21世紀を生きる子供たちが身に付けるべき「21世紀型スキル」を2007年に提唱した。

具体的には、言語能力や計算能力に加えて、コミュニケーション能力、アクティブ・ラーニング能力、情報活用能力などが含まれる。オーストラリアでも同様のスキルの習得を提唱している。日本も国立教育政策研究所が平成25年に、報告書の中で21世紀型スキル(能力)の重要性について述べ、文科省教育課程企画特別部会の「論点整理」でも、「21世紀型スキル」という文言こそ出してはいないが、それらを新学習指導要領に含める必要性を説いていた。

21世紀型スキルで基礎となるのは言語能力である。しかも、グローバル化が進む中では英語能力が重要となる。これは何も、アメリカ人やイギリス人とのコミュニケーションのみを念頭に置いているわけではない。

むしろ今後は、英語を母語としないノンネーティブ同士の英語での交流が増えてくる。英語のネーティブスピーカーは、現在3・7億人であるが、英語の使用人口は15億人である。これは、ノンネーティブ同士の英語によるコミュニケーションが広がっている証拠でもある。

日本における小学校英語の開始も、グローバル社会におけるコミュニケーションの道具としての英語の重要性を考えてのことであり、日本の言語や文化、伝統の軽視では全くない。

私の住む秋田県でも、酒造業者間で英語の重要性が増しているそうだ。日本酒の海外需要の伸びとともに、海外業者との取引が増えている。酒蔵の社員が英語での商品説明や、直接海外に出向いて売り場確保の交渉もするという。通訳者では分かりえない酒造りの知識を持つ酒蔵の社員が、直接英語で話すことに意味があるという。

日本では日本語だけで十分との考えは、地方においても、もはや成り立たない。グローバル化が進むにつれて、英語の重要性がますます高まってきている。小学校英語教育は、21世紀型スキルの基礎となる英語能力を養うことにつながるといえる。

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町田智久准教授=イリノイ大学大学院博士課程修了。専門は小学校英語教育、外国語不安など。