【連載】授業づくりの道具箱ーインストラクショナルデザイン理論(1)目指す効果と効率と魅力

eye-catch_1024-768_nemoto愛媛大学准教授 根本 淳子

インストラクショナルデザイン(ID)が目指しているのは、簡潔である。子供に「良い学び」を提供することと、その支援。教員であれば、誰でも考えることだ。この当たり前の活動を整理するために、IDがある。

教育者が自身の実践を客観的に見て、良い授業・学びが提供できているかを説明するための道具が、IDなのである。

では、IDが考える「良い学び」とは何か。

それは、「効果」「効率」「魅力」の3点で整理できる。

できなかったことが、できるようになる。分からなかったことが、分かるようになる。これが「効果」。授業には「教えたいこと」(目標)がある。達成を、教員と子供が共に確認できるように共有するのが重要だ。

「効率」は、物理的にも時間的にも、無駄や無理を避けることだ。授業準備時間をできるだけ抑える。授業時間を最大限生かすように、目標に合った内容や教え方を選択して実践する。これらの工夫は、効率化を目指すための活動である。

「教える側(教員)」と「学ぶ側(子供)」が期待する効果は、それぞれに存在している。

学び続けるために重要なのが、3点目の「魅力」である。「やる気」「意欲」「達成感」など、さまざま言葉で表現される。授業のワクワク感は、子供のやる気に火を付ける。効果・効率の手段だけでなく、魅力(動機づけ)を目標として捉える。

IDではこの3要素が組み合わさると、「良い学び」ができると考え、授業や学習を組み立てる。これらには優劣や順序はない。日々の授業実践から少し離れて、3要素で整理してみよう。自身の授業の強みと同時に、改善点が見えるかもしれない。

では、「効果」「効率」「魅力」を、どう高めるか。

「学習目標」「評価方法」「教育内容と方法」の3点を、バランス良く組み合わせることだ。授業は1回では終わらない。毎回の授業、単元、科目それぞれでバランスを取る。1回の授業でうまくいかなければ、前後の授業で調整する。時間がなければ、優先度から絞る。じっくり理解させるために、グループワークを行う。

限られた資源(時間・人・モノ)を最大限に生かして、「良い学び」をどのように展開できるか。それを考えるための道具が、IDなのである。

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根本淳子准教授=書籍『インストラクショナルデザインの道具箱101』(北大路書房)の編著など、IDの活用と支援に従事している。