【連載】教育ビッグデータで描く未来 (1)学びを深く多様に把握する

eye-catch_1024-768_yoshida(株)デジタル・ナレッジ代表取締役COO デジタル・ナレッジ教育テクノロジ研究所所長 吉田 自由児

授業を受けたり、本を読んだり、問題集に取り組んだり、単語を覚えたり…。

人は教育を受ける際にさまざまな手段で学びます。こうして学んだ結果、どこまで進んだか、どの問題を間違えたか、どのくらい時間がかかったかといった情報は、バラバラに管理されたり、学習しっ放しで記録が取られていないのが実情でしょう。

たとえば、学校では一人ひとりの授業中の学習状況は先生が大まかに把握しているでしょうが、家庭や塾での学びは網羅的に把握できていないでしょう。こういった学びに関する多様な学習履歴や、行動履歴などのデータをまとめたものが、教育ビッグデータです。

教育ビッグデータの特徴として、まずデータ収集範囲の拡張が挙げられます。これまで一つの学習活動の進捗や結果を点で収集していたのが、複数の学習活動のデータを収集することで線でつながり、学習者の状況を総合的に扱うことができるようになります。

学習活動が教育ビッグデータに記録されたとすると、教室、塾、家庭で学んだ状況を全て収集できることから、進捗や学習状況の把握がより網羅的にできるようになります。

収集範囲の拡張だけではありません。データの粒度をより細かく収集することも、ビッグデータの特徴の一つです。

たとえば授業の出欠状況をチェックするのに、授業の出欠だけでなく、入退室時刻、挙手の回数、発言の回数や内容も記録するようにするとどうでしょう。授業への参加状況をより正しく捉えられるのではないでしょうか。このように教育ビッグデータは、より詳細なデータまで収集する中で、さらに掘り下げた学習状況の把握を可能にします。

取り扱うデータ形式の多様性も教育ビッグデータの特徴です。これまでデータというと学籍番号、回数、日時、正誤、得点などの「構造化データ」が中心でしたが、教育ビッグデータでは、文字情報や写真・音声・動画などの「非構造化データ」も対象にします。

たとえば、授業アンケートや質問、レポートなどの文字情報は、これまで人の目で見て状況を把握するだけだったのが、コンピュータの分析を加える中でより多くのことが漏れなく把握できるようになります。

取り扱うデータの範囲はさらに広がり、心拍数や血圧、GPSによる現在位置などを測定するIoTデバイスのデータも、教育ビッグデータの対象に含まれます。例えば、視点の移動や瞬きの回数を計測するメガネを装着する中で、集中度を測定できるようになります。

このように教育ビッグデータは、さまざまな可能性を秘めています。連載では、教育ビッグデータの概要や手法といったテクニカルな解説だけでなく、活用法や今後のビジョンについても触れていきます。