困り感から深い学びへ(1) 困り感を持つ教材とは何か

eye-catch_1024-768_kawaguchi東京江東区立第七砂町小学校主幹教諭 川口 修

児童が対話の必要性を感じるのは、どんなときか。困ったときや「なぜ」と思ったときではないだろうか。だが、児童が学習課題に対して困る場面は、本当にあるのか。より分かりやすく、理解しやすい教材を追求するあまり、子供に負荷を与えず、なんとなく分かった気にさせているのではないか。そんな疑問から、教材を見直してみる。

小2算数で、「分けた大きさのあらわしかたをしらべよう」(分数)との単元がある。分数の導入として半分(2分の1)、半分の半分(4分の1)という内容を学習する。教科書では、正方形の紙を半分に折り、折ったものを重ねて同じ大きさになっているのを調べ、それが「2分の1」という用語を理解させるようになっている。適用問題として、長方形の紙を半分に折って2分の1を作る展開である。

長方形
長方形

どんな大きさの正方形も長方形も、半分に折ったものは2分の1との学習を、活動を通して理解させるが、児童にとっては、教師に教えられた2分の1という用語だけが新たな学びで、試行錯誤して、相談しながら考えたものとはほど遠い。

そこで、導入で、円形の紙を半分に折り、中心を通ればどこで折っても重なるのを確認した。これは、あくまでも本時のイントロ。次に正方形の紙を半分に折ると、2通りできるが、どちらもぴったり重なり、半分という実像が確認できる。

そしていよいよ、本時の核に入る。長方形の紙を渡して半分になるように自由に折らせると、3通りできる(図)。そこで次の発問は、「四角になった半分と、三角になった半分は、どちらも重なるから半分と言えるけど、半分にした四角と三角は同じ大きさなんだろうか」。それぞれ重なるからどちらも半分であるとは大人の発想で、児童は、半分にした四角形と三角形を並べると、同じ大きさには見えないと言う。

それは、理屈よりも見た目を重視するからである。そこを、A=B、B=C、だからA=Cという説明をしても、児童はなんとなく理解するだけで、教師に言いくるめられた感じを持つのではないだろうか。

ここが、困り感を持たせる場面である。児童は互いに相談しながら長さを測ったり、重ねたりする。ここでの対話が、解決のカギを握っているわけである。四角形と三角形を重ねながら、あるグループが、はさみで切ってみてはと話していた。追究を支援するように話を引き出し、ようやく三角形を切って四角形にするという考えにたどり着いた。もちろん、図を使いながらみんなに説明もできた。

この部分の活動は、教科書には載っていない。切ったり貼ったり重ねたりする活動に、対話が加わり、児童にとっての新たな学びを得ることができたわけである。

このように、教科書教材では、簡単に教えて終わるものが多いが、少し視点を変えて、どの部分が困り感を持たせられるのかを考え、その場その場の児童の反応を考慮しながら展開を考える必要もあるのではないだろうか。