21世紀の学び 音楽と数学のハーモニー(1)論理×感性の創造力

eye-catch_1024-768_nakajima音楽家・数学者・STEAM教育者 中島さち子

インターネットが普及して約25年。DVDが誕生して約20年。YouTubeやスマートフォンが誕生して約10年。たった30年のうちに、私たちの生活は大きく変化しました。今後はAIがさらに発展するとみられています。こうした劇的な時代の変化に応じ、教育・学習は、知識詰め込み型から応用力・変革力育成型へ生まれ変わろうとしています。

また、人生100年時代も目の前です。もはや学びは若者だけのものではありません。OCW(Opencourseware)やMOOCs(Massive Open Online Coursewares)の出現は、世界中の好奇心旺盛な老若男女を魅了しています。

数学の魅力を体験するワークショップ
数学の魅力を体験するワークショップ

こうしたサイトでは、無料でMITやHarvard、Stanfordなどの著名大学の人気講師の講座が提供され、主婦や病院にいる方々、ご老人から貧しい国の若者たちを含む、実に5千万人以上の方が受講しています(もっとも、修了率は数%程度のことが多いですが、可能性は莫大です)。こうした時代の中、改めて学び・教育がどうあるべきかが問われています。

自己紹介が遅れましたが、私はジャズピアニスト・作曲家・数学者・STEAM教育家として活動している中島と申します。近年は、数学と音楽を絡めた講演やワークショップを日本全国の学校や教育研究会、企業などで実施している中で、まさにこの学びの変化を肌で感じワクワクしています。

私は、21世紀に特に重要なのは「論理×感性」の創造力ではないかと考えています。アデコ(株)や世界経済フォーラムの調査では、今後必要な力のうち「創造力」のランクが近年急上昇しています。

私は、創造過程では「問題設定力」「試行錯誤力・失敗力・批判力」「leap 力(ひらめき、本質を見抜く感性)」のいずれも重要であると考えており、数学や音楽はまさにこうした創造・イノベーションを、危険なく疑似体験できる優れた学び場であると考えています。創造の苦闘を通じ、論理と感性を行き来しながら新しい知見を自ら生み出す力が体験的に養われ、AIに負けない人間力が育つと考えています。

また、従来の日本では、学びが教科ごとに(社会からも)孤立していましたが、急激に変化する時代の中では、多様な領域や科目を越えた学びが求められています。私は今、「掛け算型の総合的学び」を開発・提供していますが、本連載では「数学×音楽」のお話をはじめ、私の取り組みや思い、知見をなるべく具体的に(授業に少しでも応用できるように)お届けできればと思っています。