役割演技で深める道徳 ~実感的理解の創造~(6)どの場面で役割演技を取り入れるのか②

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上越教育大学教授 早川裕隆

今回は前回の続きとして、特に「道徳的諸価値の理解」を基に演じることで「自己の生き方についての考えを深める」役割を果たす活用を考える。

「ずーっと ずっと だいすきだよ」(評論社、一部改作)を教材とした、小学4年生の授業である(内容項目 D―(18) 生命の尊さ)。

中心発問で、「ぼくはどんな思いを込めて、『エルフィー、ずっと大好きだよ』とエルフィーに話し掛けていたのでしょう」と問い、エルフィーへの精一杯の気持ちを最後まで伝えることで、自分の気持ちを整理し、死を受け入れる準備をしているぼくの気持ちを想像した後、「エルフィーが死んでしまって、ぼくはどんな気持ちでいたのでしょう」と問うた。この話し合いでの発言から、第3回の視点で、エルフィーとぼく(以下、ボブ)を指名。「本当はあり得ないことだけれど、夢の中をやってみましょう」と投げかけた。その際、エルフィーには、ボブに話しかけたくなったら話すように、何もしたくなかったら、何もしなくてもよいと告げてから、役割演技を開始した。

話し合いでの観客の指摘
話し合いでの観客の指摘

エルフィーはボブの前に現れてひざまずき、「ボブ。もっと一緒に生きていたかった。でも、いつも、ずーっと好きだよって言ってくれて、うれしかった。僕も、ボブのこと、ずっと好きだよって言いたかったんだ」と話すことができた。ボブが「僕といて幸せだった?どうして出てきてくれたの?」と問うと、エルフィーは「もちろん幸せだったよ。ボブが悲しんでいないか心配で、会いに来たんだ。天国では、走ることもできるんだよ」と答えた。エルフィーが、今は苦しくなく楽しいことを喜び合った後、ボブが「エルフィー、今一番何して欲しい?僕にできることない?」と問うと、エルフィーはしばらく考えた後、「ボブの枕になりたい。ボブの枕になって、ふわふわであのときのように、一緒に眠りたい」と答えた。そしてその後、「体は死んじゃったけど悲しまないでね。僕の心はいつもボブと一緒だよ」と告げ、また夢で会う約束をして別れた。ボブもエルフィーも笑顔であった。この後、全員で、2人の笑顔の意味を中心に考え共有した。

以上、前回と今回で述べたように、役割演技では、話し合いで深まった「道徳的諸価値の理解」を基に演じてみる。すると、さらに創造的に役割が演じられ(自己の生き方の深まり)、ますます「理解」が深まるというような、融合が起きることが分かる。

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