21世紀の学び 音楽と数学のハーモニー(5)未来へ架ける橋 ~ICT活用と領域横断~

eye-catch_1024-768_nakajima音楽家・数学者・STEAM教育者 中島 さち子

教育・学習は今、革命期を迎えています。転換のカギは、領域横断型の学び・探究・ICT活用です。

例えば、数学は情報セキュリティや機械学習、保険、バイオ、芸術、音楽など、日常生活の中のさまざまなものと密接に関わっています。スポーツでも、実は瞬時の判断や戦略策定の際には数学的思考力やリーダーシップなど、多様なライフスキルが関わっています。私はこのたび、ラグビーの五郎丸歩選手のサポートをしている(株)FIELD OF DREAMSと共同で、東京都千代田区立麹町中学校を会場に、「数学×タグラグビー」をテーマとしたワークショップを企画しています。こうした「思考と実践の往復」は実に面白い。数学に限らず、テクノロジーや工学、科学、ロボティクス、芸術など、さまざまな分野を掛け算した横断型STEAMプログラムに今後も挑戦していきます。

子供の発想を引き出し、ICTで学びを広げる
子供の発想を引き出し、ICTで学びを広げる

「探究」も新しい教育のカギです。教育では知識を学ぶ以上に、自らの頭と感性をフルに活用して知を獲得するまでの過程を体験し、躍動する創造力を育成することが重要です。私は(一財)理数教育研究所(Rimse)主催の「算数・数学の自由研究」の中央審査委員をしていますが、ここには毎年非常に優れた発想の研究作品が1万5千通ほど届けられます。

子供たちの発想は本当にすごい。初年度は「走れメロス」を題材に「実はメロスはあまり走ってない!」という、メロスの走る速度を地理や数学を用いて読み解いた作品が話題になりました。他にも、不思議なサメのコップの展開図を探究した小学1年生の作品や「丸いとはどういうことか」を探究した作品など、優れた研究があります。

探究においてはICTの活用も重要です。ICTは子供の個性を生かし、学び手の一人一人を主人公にするのを可能にします。私はあるサマースクールで小学校高学年の児童にiPadで事前課題を出したところ、算数の好き嫌いに関わらず、ネット上の共有フォーラムに次々と楽しそうな作品が並びました。

発見を共有フォーラムに書くと答えになってしまうので、個別にメッセージを求めたところ、9割程度の生徒が、位相幾何学上の発見を見事に送ってくれました。多忙を極めた私でも、オンラインで彼らの学びのサポートをするのは比較的簡単です。どんどん発想が広がった子供には、次なる問いを出し続け、子供はとてつもない研究を成し遂げました。ICT活用は、学びを教室に閉じ込めず、個性やペースに応じた探究型の学びの可能性を大きく広げます。

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