「授業再現ノート」で深い学び(6)思考の可視化「ノート」

eye-catch_1024-768_arakawa栃木県上三川町立本郷北小学校教諭 荒川 景子

■学びを創るのは自分

授業で、「気づき」を吹き出しで書くことで、学習を自分事とするメタ認知的思考の働きを促進させる。さらに、自分や全体の学びに示唆を与えてくれた友達の名前と考えを、「グループ」「全体」の枠に記録する。

黒板には、全体対話の足跡と、最後に「まとめ」が書かれるが、ノートはあくまでも「自分が主役」である。「まとめと振り返り」には、はじめの「自分の考え」が、他者との対話でどのように変容(成長)したかを記す。

「何をどのように書くか」を共有する
「何をどのように書くか」を共有する

内容に関することと、学び合いに関することの双方から振り返るよう、観点をアドバイスする。

一方で、「書くことが苦手」な子には、その要因を見極め、負担を少なくし、上手くいく状況を一緒に探る必要がある。

かつて、グループのボードにペンで大きく書くと、スラスラ書けることに気付いた子がいた。自分専用のボードを数枚用意すると、ノート代わりとして授業に参加した。それらを写真に撮り、ノートに貼ることを自分で行った。

1時間の板書を写真で記録し、それを基に授業再現にチャレンジした。その姿を見たグループの仲間が、算数の時間に使う漢字を書き出したリストを作り、授業で使えるようにした。

皆に励まされ、文字は大き目だが、ノートに書く意欲とコツをつかむまでに成長した。周囲が自分のために動いてくれることが大きな支えとなった。

この営みは、クラス目標の「誰ひとりとして見捨てない」につながるものであり、算数の時間の協同学習の基盤となっていることは言うまでもない。

誰もが自分の学びを創ることができる環境を用意することは学校の使命であるが、それを目指し実現するクラスづくりに、算数の時間も少しだけ貢献しているかもしれないと感じる出会いであった。

■知の再構成「再現ノート」

ここまで「書く」について述べてきたが、実に奥深く、地道な積み重ねが必要である。

家で、「共創」で得た過程に一人で向き合い、振り返ることは、大変な作業である。自己内対話の連続だ。

しかし、その大切さが分かると、むしろ楽しむ姿が増えてくる。その過程で、「分かったつもり」に気付くことがあり、再現の仕方として「正解」と推奨する。

授業で誰も気付かなかった、新たな発見を得る機会も訪れる。地道に、自分から算数に向き合うと、単なる再現に留まらないご褒美を得られることを知る。「小さな数学者」の誕生だ。教師の手を離れ、自分で学びを工夫していく。

こうした授業ノートや再現ノートは、大切にとじていく。「何を大切にするか」の価値観の形成と、「学び方の成長」を、自身で確認することができる。

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