みんなで「教える難しさ」に立ち向かう―22年の事実と実例に基づいて―(6) 学校と家庭の連携

eye-catch_1024-768_kouno学習教室「エルベテーク」代表 河野 俊一

昔から「家でできていないことは外でできるわけがない」と言われ、家庭での教育やしつけの大切さを私たち大人は共有してきました。とはいえ現在は、家庭と親だけでは処理できない、教えられない、対応できない事象がずいぶん増えています。例えば、いじめ、不登校、発達障害、スマホ・SNS、学力回復などの問題解決に向けた対処の仕方です。

親の勉強会(セミナー)
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問題は多様であっても、やはり、学校(窓口は担任)と保護者が信頼関係を築き、連携していくことが強く求められます。つまり、保護者と学校が子供の状況をしっかり把握し、話し合い、問題点と効果的な対応策を共有することが一番大事です。

今回は「学校の先生方の協力を得てがんばる」と決めた、ある母親の取り組みを紹介します。

言葉を全く発せず、2歳のころから医療と療育の指導を受けていたにもかかわらず、年中の秋に「知的遅れを伴う自閉症」と診断された男の子(現在小学3年生)の母親です。結局、両親が切望した言葉の遅れは改善できず、療育機関に「言葉の発声は無理です。タブレットを使いましょう」と告げられました。

彼が私たちの教室で発音・発語の学習を受けたのは年長の夏。最初になんとか出た6音を手掛かりに、4カ月後には38音に増え、少しずつ挨拶や返事ができ、指示に応じられるようになりました。小学校(特別支援学級)に入学する頃には、簡単な質問にも答えられるまでに成長しました。

学習の効果を実感した母親の努力が立派です。言葉の遅れのほか、覚える力が弱いという課題を持っていたので、読めない文字や覚えられない計算の式を書いた紙を、壁やドアに貼って読ませるなど、家庭でも覚える練習を何回も繰り返しました。その積み重ねが、彼の力を伸ばす土台となりました。

その指導の仕方と考え方を「指導上配慮いただきたい点について」というレポートにまとめて、担任と話し合い、理解と協力を得たのです。母親の働き掛けによって、担任も彼の言語面をはじめとする認識力などの能力を明確に把握できたので、関わりやすく教えやすくなり、適切な学習課題を与えられるようになったとのことです。

親が家庭での効果的な子供への接し方と教え方を知った上で学習に取り組むと、その成果が学校生活でも現われ、親も子供も学校側も手応えを感じ自信を付けます。

学校と家庭が学習の指導方法を共有することにより、見通しが立ち、生活面・学習面で大きな変化と成長をもたらした実例だと言えます。

家庭でできるようになるから、学校でも少しずつ分かるようになる、さらに学校でも家庭でも……。これが、子供の成長という観点からみた、学校と家庭の連携ではないでしょうか。

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