みんなで「教える難しさ」に立ち向かう―22年の事実と実例に基づいて―(8) 「1対多」は「1対1」から

eye-catch_1024-768_kouno学習教室「エルベテーク」代表 河野 俊一

子供が不適切な言動を取らず、落ち着いて先生の方を向き話を聞く、そんな授業を可能にするには、教える側の役割が大きいと言えます。観察力と事前の対応の2点がポイントです。

(1)観察力(目配りと気配り)

よほど意識して子供たちと向き合わなければ、担任との関わりの少ない子が出てきます。ほとんど話しかけてこない子のケースなどですが、こちらから顔を見て声を掛けていないなら、その子の様子を把握できません。1対1の大切さを意識して公平に声を掛ければ、子供たちは「自分にも目を向けてくれている」と敏感に感じ取り、気持ちを立て直していきます。声を掛ける機会が少なかったと思われる子には、意識して、多めに、目を見て声を掛け話を聞いてその子の状態や思いを知ると、結果的に表情、態度、意欲に変化が現れるはずです。

先生に目を向ける
先生に目を向ける

昨年ですが、中部地方の小学校の先生が私たちの教室を見学に訪れました。受け持ちの5年生のクラスでは離席する子もいて、学級崩壊になりかねない、その勉強のためにのことでした。見学後「授業中、私自身が子供一人一人の目を見ながら話していなかった。1対1で見ていくことが大事なんだと感じました」「私が話し始めたら必ず私の方に目を向けさせ、見ていないなら『○くん』と声を掛け、必ず注意を向けさせてから話し始めるようにします」と。

しばらくして、「クラスが落ち着き、離席する子供がいなくなりました。自分のクラスが学校のモデル教室になりました」という報告がありました。先生の素晴らしい点は、「1対多」は「1対1」から始まる事実を再確認し、子供たち一人一人、全員の目を見て話すよう努力されたことではないでしょうか。

(2)事前に察知し、対応する

残念ながら子供が不適切な言動を取ってから注意する保護者や指導者が多いのが実状です。離席してうろうろしたあげく教室外に出ていくような場合、離席しそうな時に「立ちません」「座ります」と言うべきです。子供はたいてい同じパターンで行動しますから、よく離席する子には、腰が浮きそうで「もうすぐ立ち上がるな」と気配に気付いたら、すかさず「立ちません」と言えば、それで済みます。立ち歩いてから「戻るよ」と言っても、なかなか指示は通らず効果はないでしょう。

子供には「してはいけないことをやってしまった」というマイナス体験をさせるのではなく、「しなかった」という実績を積み上げ、その傾向・癖に気付かせ自分でコントロールできるように導くべきではないでしょうか。