多文化共生教育の最前線 [横浜市立飯田北いちょう小学校の実践から](7)ブラジルの教育から学ぶ②

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本校では、6年生の「総合的な学習の時間」の中で、「難民」について学ぶ。さらにその前にも、5年生でJICA横浜を訪問し、日本からハワイやブラジルなどに移住した日本人移住者について学ぶ「移民理解学習」を行っている。

遠く離れた異国の地で、日本人がどのように受け入れられ、どんな暮らしをしていたのかなどを知ることで、ブラジルの「友達」のルーツを理解する。そして、地域に多く暮らしている外国に関係のある方々との向き合い方、今後増加する移民者の受け入れ方などについて考える大切な学習となっている。

110年前。初めて日本人移民者を目にしたブラジルの人々は、日本人の真面目さ、勤勉さに感動した。当時の記録によれば、数カ月をかけてブラジルにたどり着いた船の中は清潔に保たれ、日本人は混乱することなく並んで移動し、タバコの吸い殻や唾吐きもなかったという。

ブラジルから多文化共生社会の在り方を学ぶ
ブラジルから多文化共生社会の在り方を学ぶ

一方、待っていたのは、差別や偏見、重労働。過酷な生活に耐えながら必死に生きる日本人移民。共同で土地を購入し、野菜を栽培して販売する中で、日本人の仕事の細やかさや丁寧さ、誠実さに、ブラジルの人々からの信頼を得るようになった。「ジャポネーズ・ガランチード」という言葉がある。約束を守り、責任を持って仕事を果たし、真面目に働いた日本人移民者が積み重ねてきた信用による、「日本人、日系人なら間違いない」という評価だ。その評価が、「保証付きの日本人=ジャポネーズ・ガランチード」という言葉には込められている。

日本人移民者の子孫は、その勤勉さと教育程度の高さから社会的地位の高い職業に就いているケースが多く、政界、経済界、医者、弁護士、教員など、芸術・文化を含む広範な分野に進出し、ブラジルの発展に大きく貢献したと高く評価されている。

つまり、ブラジルでは、「国籍や見た目に偏見は持たず、『良さ』を認め合える目を持ち、『がんばった者』が評価される国づくりをしてきた」ということだ。

「多文化共生社会」とは、国籍や民族の異なる人々が、お互いの価値観や文化的な違いを認め合い、対等な関係を築きながら、地域社会の構成員として共に生きていける社会のことである。

現在、日本に住んでいる外国籍住民、そして将来、日本に移住してくる外国籍住民も、地域社会を共に支える住民であり、国籍や民族が違うことで区別するのではなく、お互いが違いを認め合い、尊重し合いながら、共に豊かに暮らしていくことが大切なのである。(教諭 菊池聡)