多文化共生教育の最前線 [横浜市立飯田北いちょう小学校の実践から](8)アメリカの教育から学ぶ①

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私は、2014年2月、教師海外研修で米国のカリフォルニア州ロサンゼルス近郊のグレンデール市を訪れた。

アメリカは、公教育の中でマイノリティー言語を母語とする子供のためのプログラムが多いが、特にカリフォルニア州では、母語ではない英語の学習者が150万人(州人口の25%)と全米の中で一番多く、そのため英語学習者への教育プログラムも多い。

グレンデール市には、▽アルメニア▽韓国▽フランス▽ドイツ▽イタリア▽スペイン▽日本――の7つの言語イマージョンプログラムを持つ公立小学校が、それぞれ存在する。

研修先の公立小学校では、全校児童数約700人中、約200人が日本語イマージョンプログラム(Japanese Dual Language Program;JDL)の学習者であった。JDLは授業科目を学習目標言語で教える教育法で、学習目標言語を教えるのではなく、学習の道具として学ぶことで学力の発達を促進しながら第二言語を習得させるのである。

いちょう小でのあいさつ運動の風景
いちょう小でのあいさつ運動の風景

その小学校では、英語と日本語を同じ時間数で学習するシステムで、英語の担当教師と日本語の担当教師が、1日の前半部を英語または日本語で行い、後半部をもう一方の言語で行い、ランチタイムを挟んで交代していた。また、4週間ごとに前半と後半を入れ換え、両言語のバランスを保っていた。

アメリカの小学校では、一般的にしつけは家庭で取り組み、大きな問題にならなければ学校では指導しないが、JDLでは本の整理やごみ拾い、人の話を目で聞く、ハンドサインの活用など、日本の学校で一般的に行われるしつけやルールについて取り扱われていた。

単に、語彙(ごい)や表現だけを取り出して学習し、習得するのではなく、日本的な文化の体験を通して、日本語に触れて学ぶ方針がうかがえた。

クラスの子供の日本語力には差がみられたが(同じように英語力にも差がみられた)、新しい単元に入る前のホームワークを活用して保護者に協力を求め、新出の語彙や表現について、写真や絵を添えて事前に学習していた。学習では、カルタやフラッシュカードを用いて新出の語彙や表現を習得後、文脈の中で活用する、という流れで学習が展開されていた。

また、目の前にない具体物や動作を確認するために、動画を効果的に活用し、物と言葉をセットにして体験的に理解させる工夫もされていた。登下校の完全送迎など、保護者の学校教育への参加も高く、宿題を前提とした学習展開や、学習支援者として関わり、個の課題に合わせて学習できる環境も充実していた。

(教諭 菊池聡)