多文化共生教育の最前線 [横浜市立飯田北いちょう小学校の実践から](10)多文化共生を盛り込んだ学習

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前回で触れたように、本校では5年生の「総合的な学習の時間」の中で、日本人移民がブラジルの人たちに受け入れられた歴史を学ぶ「移民理解学習」を行っている。

6年生では、国語科の単元「平和のとりでを築く」(光村図書)の発展学習として、ベトナムやラオス、カンボジアから難民として来日した人々や、中国帰国者として来日した人々から、当時、母国で何があり、なぜ国を離れることになったのか、日本に来てからの苦労や喜びなどを語ってもらう「難民理解学習」を行っている。

スピーチコンテストに出場した本校の児童
スピーチコンテストに出場した本校の児童

その後、自分の親や親戚にインタビューして、自分や友達のルーツを調べたり、親の思いや願いを知ったりしながら、「平和について、自分にできること」という視点で、スピーチ原稿を書かせている。

横浜市では「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」を開催し、最優秀賞の児童には同市のピースメッセンジャーとして、ニューヨークにある国連本部を訪問するという活動を推進している。この全市での取り組みを、本校の実情に合わせてカリキュラム化し、学校全体で取り組んでいる。4年生以上の各学級から代表者を選び、校内予選を経た後、本校のある泉区の地区予選に出場している。

その地区予選で最優秀賞になった児童が、市の本選に出場できるのだが、今年度の本校の代表児童は、予選を通過し、本選で最優秀賞に選ばれた。そして、市の代表として、ニューヨークを訪れることになったのだ。

日本人の彼女のスピーチは、11歳のときに母国ベトナムから難民として避難してきた人の体験談を基に書かれている。

「戦争がきっかけで来日した外国の方々が、困っていたんだと初めて気付き、何もできなかった自分が申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。今年の入学式。日本語が分からなくて泣いていた、ベトナムから来たばかりの男の子に、私の友達がずっと寄り添っていた姿を見て、違いを受け止め、不安に寄り添う大切さを実感することができました」

人は違って当たり前。違いがあるから楽しいし、違いを認め違いを楽しむことが平和への第一歩――。そう教えてもらったのを基に、彼女は児童会長として、友達の国の言葉であいさつをすることを提案し実現した。

みんながいろいろな国のあいさつを覚えて、日本に来たばかりの友達に、友達の国の言葉であいさつをすれば、日本語が苦手な友達も安心できる――。子供らしいその視線は、日本が目指すべき方向性を示している。

(国際教室担当教諭 菊池聡)