多文化共生教育の最前線 [横浜市立飯田北いちょう小学校の実践から](11) 多文化教員を目指せ

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今後の日本の教育は、「日本人」であることを前提とした教育だけでなく、民族的少数者の文化的多様性や学習スタイルの多様性を尊重し、さまざまな言語文化を学習カリキュラムに取り入れるなどとした「多文化教育」の構築を目指さなければならない――。この地域に15年間、教員として勤務してきた中で、そう強く感じるようになった。

昨年の新聞記事によると、日本は世界でも経験したことがない割合で、2008年をピークに年々少子高齢化が進行し、50年後には人口が8千万人程度にまで減少するという。

「多文化」を体現する本校の運動会
「多文化」を体現する本校の運動会

さらにその100年後には、人口が5千万人を下回るともいわれている。特に30年後の2040年代には、毎年100万人以上のペースで人口が減少する。つまり、1年ごとに仙台市や北九州市のような巨大な政令市が消えていくということだ。

このような人口減少によって、▽年金カットや医療費負担の増大など、社会保障制度の悪化▽学校・警察・病院・消防署などの公共施設の統廃合や職員の減少▽米や野菜農家の減少、スーパーやデパートなどの商業施設の撤退▽バスや電車などの公共交通機関の本数削減・廃止――などが起こり、大都市や郊外ですらも人が消えていく可能性が考えられる。

安倍首相が議長を務める「一億総活躍国民会議」では、50年後でも人口1億人を維持するために、移民受け入れ政策の緩和を検討し始めているという。

つまり、これから数十年、数百年の間に、数千万人の移民が来日することも予想される。本校のような地域だけでなく、全国どこの地域にも、外国に関係のある人々が当たり前に住む時代が目の前に迫ってきているのである。

また、同会議では、日本で暮らす外国人の増加に伴い、日本語の指導が必要な子供たちが増加する傾向にあるのを受け、子供たちの多様な個性が長所として肯定され、生かされる教育への転換が話し合われている。

これまでは、来日した人々が少しでも早く日本での生活に慣れるようにという視点で、支援が行われてきた。それは「日本人として受け入れますよ」と言っているようなもので、多文化社会の理念を実現するためには、逆方向の支援と考えられる。

一人一人が生まれ持っている多様な個性を認め、それを生かして活躍できる。多様な個性が長所として肯定され、生かされる教育へ――。その転換を実現するのは、私たち「多文化教員」なのである。

(国際教室担当教諭 菊池聡)