多文化共生教育の最前線 [横浜市立飯田北いちょう小学校の実践から](12)多文化共生社会の実現へ

eye-catch_1024-768_tabunka

昨年、米ゴールデングローブ賞の授賞式で、ある女優が「ハリウッドはよそ者や外国人であふれている。彼らを追い出せば、アメリカンフットボールと総合格闘技以外に見るものはなくなる」と話したのが話題になった。同国では1880年代以降、移民を徐々に受け入れ、現在は年間67万5千人を受け入れている移民大国である。

移民第1世代は、移民先の国ではマイノリティーであるが、2世代目、3世代目となると、次第に移民人口が増加する。現在では、メキシコを中心としたヒスパニック系の移民人口が増加、2050年には、非白人の国になるとも言われている。

多文化国家日本の姿を垣間見るような本校の卒業式
多文化国家日本の姿を垣間見るような本校の卒業式

昨年、ロンドンで行われた世界陸上の男女400メートルリレー。米国が男女共に優勝したシーン。非白人系の代表同士が星条旗を掲げ、スタンドでは自国を応援するため、はるばるロンドンまでやって来た白人の米国人が映し出されていた。米国では長い歴史と時間をかけて移民文化が浸透して新しい文化が創り出され、多様であることが当たり前になっている。

日本国内を見渡せば、国技である大相撲の場面で画面に映し出されたのは、モンゴル出身の横綱同士の優勝決定戦であった。翌日の新聞は、外国出身の横綱の優勝よりも、日本人大関の横綱待望論が記事として大きく取り上げられていた。日本は島国で、陸続きの国境がないことから、日本独自の文化が形成されてきた。しかし、長い年月を経て、現在では約240万人の外国人が日本に移り住み、そして外国から多くの観光客が来日する時代となった。

少子高齢化対策として、日本が20万人の移民を毎年受け入れたとしたら、10年で200万人となり、30年後には日本人の出生率を大きく上回って、人口が増加する可能性もあるとも言われている。

第2世代以降の人種構成も大きく変化し、米国と同じように、新しい日本文化が創られ、多様性が当たり前になるだろう。例えば、中国系移民が畳の家に住み、インド系移民が柔道や茶道や古典芸能で活躍するようになったとき、日本が伝統的に持っていた文化や価値観は大きく異なるエッセンスが加わり、発展するかもしれない。

すでに、アスリートとして活躍する野球のダルビッシュ有選手や陸上競技のケンブリッジ飛鳥選手、テニスの大坂なおみ選手などのように、国際結婚によって生まれた2世・3世世代が活躍している。スポーツだけでなく、あらゆる場面で、彼らが日本を多文化国家として導く時代が目の前に迫っている。

(国際教室担当教諭 菊池聡)

(おわり)