現代リベラルアーツ教育論~熱き心とクールな頭脳を育てる(4)戦争回避のための教育

eye-catch_1024-768_takeuchi_fin山梨学院大学国際リベラルアーツ学部 学部長補佐/認定NPO法人 Teach for Japanアドバイザー
武内隆明

先ごろ、ニューヨークにある国連本部のツアーに、上海の教え子たちと一緒に、初めて参加した。

そこで改めて考えたのは、有史以来、世界中で続く戦争の歴史だ。

世界各国が軍事関係費に投じている金額で、地球上で飢餓に苦しんでいる人々を十分に救済できるという事実。私はたまらなくいたたまれない気持ちになった。

その後、出張で訪れたベトナムでは、ベトナム戦争で使用された米軍の空爆の量が、第2次世界大戦のそれをはるかに上回っていたのも知った。驚くべきことに、その量には、ベトナム国民をむごたらしい後遺症で苦しめた膨大な枯れ葉剤や、銃弾などは含まれていない。日本より狭い、あの国土にである。陰惨な拷問器具の展示も見た。

戦争は人の心を冷酷にし、世界は熱に浮かされたような異常な思考に陥る。昔の日本も同じだった。私は戦争は絶対に忌避すべきであるという認識を新たにした。

「元も子もない」という表現が日本語にある。それは文字通り、親子を引き裂き、人々を貧困のどん底に陥れ、大量の無実の死傷者・病苦に苦しむ人を何世代にもわたって生み、果てはその地域に脈々と受け継がれてきた文化も、根こそぎ木っ端みじんにしてしまう。

戦争は、人類が生み出した最大最悪の災害だ。

米国西海岸の一流リベラルアーツ・カレッジ(Reed College)で、カリグラフィ(能書法:文字を美しく見せるための手法)を学んだスティーブ・ジョブズは、2007年に最初のiPhoneをこの世に出した。以来、スマートフォンやタブレットなど、どんどん技術革新が進み、そのスピードも加速化している。

今に始まった事ではないが、人間の根源にある物欲、支配欲などの欲は根深い。

技術革新を悪用し、ますます「非」人道的な殺し合いを続けている。

最近の経済学は、心理学と合わせて人間の行動パターンから、現実的に見直すようになってきている。まさに、学問の垣根を越えたリベラルアーツ的傾向だ。

しかし同様に、武器の実用レベルでも、肉体的・心理的ストレスが極めて少ないにも関わらず、想像を絶する殺傷力の新兵器が、膨大な経費と頭脳、労力を費やして日夜、研究開発されている。

戦争という人類の最悪な事態を回避するためには、多視点から、多分野の知識をどう有効利用できるかという価値観を育てるのも、教育の重要な役割だろう。

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