学びから創るコミュニティ (3) 優れた人

eye-catch_1024-768_yamazakiコミュニティデザイナー 山崎 亮

地域の未来を考えたり、自分の人生について考えたりするのは存外難しい。一人でやろうと思ってもなかなかできない。何かのきっかけが必要だ。

コミュニティデザインの仕事の多くは行政から依頼される。▽その地域の将来計画をつくってほしい▽食育計画や産業振興ビジョンをつくってほしい▽中心市街地の活性化策を検討してほしい▽新しい公園をつくりたい▽病院をつくりたい▽高齢者施設をつくりたい▽アート作品をつくりたい――。

福島県猪苗代町に誕生した「はじまりの美術館」。その話し合いには、大人だけでなく子供や幼児にも参加してもらった。写真は幼児が壁に貼られた紙に線を描くプログラム。大人たちが地域の未来について真剣に語っている姿を見ることは、子供たちにとって大切な経験といえよう。
福島県猪苗代町に誕生した「はじまりの美術館」。その話し合いには、大人だけでなく子供や幼児にも参加してもらった。写真は幼児が壁に貼られた紙に線を描くプログラム。大人たちが地域の未来について真剣に語っている姿を見ることは、子供たちにとって大切な経験といえよう。

依頼されると、まずは地域の人たちの話を聞く。100人くらいから話を聞き、顔見知りになった後でワークショップを開催する。その100人のうち、70人くらいは参加してくれる。他に初めて会う人が50人くらいで、120人くらいの人たちとワークショップを繰り返し、話し合う。

いつも地域の未来や自分の人生の話から始めてもらう。いきなり公園や病院の在り方を話し合うことはない。自分はどう生きたいのか、何を大切にしたいのか、その実現のためにどんな地域であってほしいのか。それを考えた上で、具体的にどんな公園や病院だとうれしいか、という話し合いへと進む。こうした話し合いは、自分の人生を考え、家族との生活を考え、地域の在り方を考え、そこから具体的な施設の在り方を考えるという順で話し合うことが多い。

子供の教育も話題になる。地域の若者の教育も話し合う。地域の未来について話をすると、その時代の主役について話がしたくなるのだろう。できる限りワークショップには中高生も参加してもらう。大人たちが「未来の主役」の存在を意識するためにも、「未来の主役」たち自身が地域の希望を共有するためにも、彼らがワークショップの場にいることは大切だ。

当然のことだが、ワークショップは偏差値の高い人だけが活躍できるわけではない。理屈っぽい人は嫌われることも多いし、物知りだけど口だけの人は「動かない人」と揶揄(やゆ)される。一方、素晴らしい演説をするわけではないが、いつもにこにこ笑顔の人が中心的役割を果たしていることもある。人の意見を否定せずに自分の意見を表現するのに長けている人もいる。人の気持ちを瞬時に把握し、さりげない配慮ができる人もいる。

ワークショップは「優れた人」の定義を一元的なままにしておくのが難しい場である。参加すればするほど、各人がそれぞれ優れた部分を持っていることに気付く。「未来の主役」たちが、それを体験的に理解してくれることを願っている。