学びから創るコミュニティ(5)教育の目的

eye-catch_1024-768_yamazakiコミュニティデザイナー 山崎 亮

「教育の目的は何か」と、考えることがある。きっと教育学の教科書なら最初に書かれていることだろう。門外漢なのだから、早くその手の本を読めばいいのだろうが、まずは現場での経験から、自分なりの考えをまとめておきたい。ということで、自分なりに教育の目的を考えてみる。

まず思い浮かぶのは、「教育を受けた人が幸せな人生を送るため」ということ。幸せな人生を送るために「知っておくべきこと」や「できるようになっておいた方がいいこと」などがあるだろう。それを体得するために、教育が必要なのだと思う。

岡山県笠岡市の離島で、子供たちと島の未来を考えるワークショップを開催したことがある。島の特徴を調べ、自分たちの人生と地域の未来について考え、大人と協力して進めたいプロジェクトを提案した。その過程で彼女たちが学んだことは一言で表現しにくい。ふるさとへの愛着も含め、さまざまなことを体験し、考え、議論し、泣いたり笑ったりした。
岡山県笠岡市の離島で、子供たちと島の未来を考えるワークショップを開催したことがある。島の特徴を調べ、自分たちの人生と地域の未来について考え、大人と協力して進めたいプロジェクトを提案した。その過程で彼女たちが学んだことは一言で表現しにくい。ふるさとへの愛着も含め、さまざまなことを体験し、考え、議論し、泣いたり笑ったりした。

それでは「幸せな人生」は、どんな要素から成り立っているのだろうか。「家族や友人や恋人や同僚など、親しい人との良質な人間関係」は、大きな要素だろう。また、「夢中になることのできる仕事や趣味」も、見つけられると幸せだ。そして、「健康的な生活に必要な物品や貨幣」を手に入れるのも必要だ。さらに、「地域や国や世界が平和で魅力的であること」も重要な前提となろう。

幸せな人生を構成する要素を思いつくままに4つ挙げてみた。人によっては他にも挙げられるだろう。いずれにしても、もし教育の目的が各人の幸せな人生を実現させることなのであれば、私たちが学ぶべきなのは「良質な人間関係」「夢中になれる仕事や趣味」「生活に必要な物や金」「魅力的な地域」などを手に入れる方法ということになる。

それはどんな方法だろう。これまた思いつくままに列挙すれば、▽あいさつをする▽笑顔でいる▽うそをつかない▽人と仲良くする▽困っている人を助ける――といったことが思い浮かぶ。まるで道徳の授業内容だ。しかし実際は、学齢が上がるにつれて学校教育の現場で道徳を学ぶ機会は減る。

だからこそ、家庭教育と地域教育が必要な教育機会を提供することが重要なのではないか。コミュニティデザインに関わる立場からそんなことを考える。

まちづくりのワークショップを開催する目的は、直接的に「まちおこし」を実現させることだけにあるのではない。そこに参加する人たちがお互いに学び、学んだことをそれぞれの家庭に持ち帰ることでもある。

「偏差値偏重型の学校教育はダメだ」と主張することもできるが、同時に地域教育や家庭教育が実現できることは何なのかを考えてみるのも重要である。教員もそれを考えるべきだろうし、地域住民もまた、学校教育の限界について考えてみるべきだろう。

両者が共有しておくべきなのは、「教育の目的は何か」ということ。できれば教育学の教科書から答えを仕入れるのではなく、まずは「生活の実感」や「地域の実情」から考えてみてほしい。

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