現代リベラルアーツ教育論~熱き心とクールな頭脳を育てる(9)著名な卒業生たち

eye-catch_1024-768_takeuchi_fin山梨学院大学国際リベラルアーツ学部 学部長補佐/認定NPO法人 Teach for Japanアドバイザー
武内隆明

「リベラルアーツを勉強して、どんな仕事に生かせるのか」と、よく問われる。

まず、史実確認を。ざっと全米のトップ・リベラル・アーツ・カレッジの「著名な卒業生」として、各校のウェブで紹介されている職種を分析してみた(敬称略)。

教育関係者はやはり数多く、日本関連だけでも、特に同志社大学の創立者の新島襄(アマースト大)、同じく津田塾の津田梅子(ブリンマー大)などが有名。珍しいところでは、小説家の永井荷風(カラマズ―大)や内村鑑三(アマースト大)で、それこそ、外交官関連では数十人を超える。

本家米国だと、途中で転校してしまったがオバマ大統領(オクシデンタル大)とヒラリー・クリントン上院議員(ウェルズリー大)が最近の好例。そして、ブッシュ大統領夫人(バーバラ)とレーガン大統領夫人(ナンシー)は同窓(スミス大)である。他にもヒラリーと同窓のオルブライトは、アメリカ初めての女性国務長官である。

起業家でも、2年間で転校してしまったが前アップルのCEOだったスティーブ・ジョブス(リード大)や、インテルの創立者のロバート・ノイス(グリネル大)で、意外と知られていないのが、ソフトバンクの孫正義(カリフォルニアのホーリー・ネームズ・ユニバーシティ)。孫正義は、2年間、リベラル・アーツの大学で力を付けてから途中でUCバークレー校に転校しているのだ。

芸術分野でも多彩である。「ダ・ビンチ・コード」の筆者のタン・ブラウン(アマースト大)や、「風と共に去りぬ」の作家のマーガレット・ミッチェル(スミス大)から、俳優では、「スター誕生」のクリス・クリストファーソン(パモナ大)や、「エデンの東」のエリア・カザン(ウィリアムズ大)と枚挙にいとまがない。

体育会系では、オリンピックのハンマー投げ 金メダリストのトゥーテルと初代女子マラソン金メダリストのべノイト(両名ボードウィン大)や、バスケットボール(NBA)の「アトランタ・ホークス」ヘッドコーチのビューデンホルツァー(パモナ大)、アメフトの第38回スーパーボウル先発メンバーのドナリ―(デイビットソン大)など。

このように、数千人の総合大学と異なり、少人数の、特に職業に直結した専門教育をあえてしないリベラル・アーツ教育であるがゆえに、卒業後の活躍の場が極めて幅広く分散され、興味深いことに、生涯を掛けて各分野で一流のレベルまで上り詰めているのである。山を高く積み上げるには、裾野を広くのゆえんである。

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