まなびじま奥尻 ―離島の町立高校の挑戦―(1) 北の離島で最先端の高校教育を!

eye-catch_1024-768_tawaraya_fin北海道奥尻高校校長 俵谷俊彦

「北海道の奥尻?聞いたことあるけどね」――。
お会いした方は大抵、「奥尻」と聞くと、今から25年前の北海道南西沖地震の被災地ということをかろうじて思い出してくれるが、全くなじみのない二十代、三十代の方もいる。当然のこととして、そこに高校があり、そこの教育活動を知っている人というと、非常に限られてしまう。

青い海に囲まれ、自然豊かな奥尻島
青い海に囲まれ、自然豊かな奥尻島

北海道奥尻高校は、北海道の南西、対岸の江差町から西北61キロ、フェリーで2時間10分ほどの、日本海に浮かぶ奥尻島にある。島唯一の高校で、全日制普通科の各学年1クラス、全校合わせて39人しかいない。

1977年の創立当時は2クラスだった入学者定数が、震災後の島民の減少により、2002年度入学生から1クラスになり、ここ近年は入学者が10人を切るところまできている。入学者数はかねて減少の一途をたどっており、道立高校である奥尻高校は統廃合の危機にひんしていた。そこで、奥尻町は高校を存続させるために、16年度から町立に移管した。

本校はこの町立高校への移管を契機に、これまで以上に「地域を担う人材」「持続可能な社会を創る人材」を育成することを目的に、離島と都市部との教育格差という問題を克服すべく挑戦している。そのさまざまな教育活動は「まなびじま奥尻プロジェクト」と名付けられ、学校の中だけにとどまらず「この島全体が学校である」というコンセプトで取り組んでいる。島民が諦めていた高校教育を残すだけではなく、島の課題の解決策を生徒が提示し、離島でありながらも最先端の教育を目指す、常識にとらわれない高校に生まれ変わった。

具体的には、(1)インバウンド(訪日外国人旅行客)を受け入れる人材となる「イングリッシュサルーン」の開催(2)町おこしの人材を育てる「町おこしワークショップ」の開催(3)遠隔授業の指導で難関大学突破を実現する「Wi―Fiニーネー」による個別指導(4)高校生が奥尻をアピールする「奥尻パブリシティ本部」の設置(5)島を他校生徒との決闘の場とする「北の『巌流島』プロジェクト」の実施(6)連携型中高一貫教育の上級生によるメンタリングシステムの確立(7)島外の生徒の居住地を確保する「島の房暖ロッジ取次団」の結成(8)島でも稼げる力を身に付ける「奥尻プログラミング教育」の開発――などである。この連載では、その一端をご紹介したい。

カリキュラム・マネジメントや「地域に開かれた教育課程」「主体的・対話的深い学び」「高大接続改革」など、さまざまなキーワードで高校教育改革が取りざたされている。本校の取り組みはその全てに対して、独自の「答え」を持って取り組んでいる。ぜひ、読者から意見や評価をいただければ幸いである。