未来カルテで見つめる2040年の日本(2)未来カルテの使い方

eye-catch_1024-768_kurasaka_fin千葉大学教授 倉阪 秀史

未来カルテには、将来の人口予測・年齢構造予測を前提として、現状の各種比率などを固定して、就業構造、保育、教育、医療、介護などの需要と供給のギャップなどを予測した情報などが掲載されている。

予測のベースは、国立社会保障・人口問題研究所の市町村別の人口予測(中位推計)を使っている。まず、男女別年齢階層別の就業者人口比率を現状(2015年)の数値で固定し、将来の人口予測の男女別年齢階層を適用して、将来の就業者数を予測。つまり、女性の社会参画の状況や、65歳定年などの状況が将来にわたって今のまま続くと仮定している。また、市町村の外からその市町村に働きに来る人の比率や、市町村の外に働きに行く人の比率も変えていない。

未来カルテに掲載されている情報
未来カルテに掲載されている情報

また、その市町村での産業別の就業比率については、男女5歳区分ごとの人口集団を想定し、00年、05年、10年、15年の国勢調査を用いて、各人口集団の産業別就業人口の変化率(例えば、05年の30~34歳就業人口を00年の25~29歳就業人口で割る)を00年~05年、05年~10年、10年~15年のそれぞれについて算出し、それを平均した値が40年まで維持されるものと仮定した。00年以降の産業構造の変化傾向が40年まで続くという想定になる。

さらに、新規就業者(15~19歳および20~24歳)がどの産業を選ぶのかについては、15年のこれらの世代の産業別の就業者比率が40年まで変わらないと仮定した。つまり、若者の就業傾向も変わらないとしている。

次に、男女別5歳区分別の患者比率の全国傾向を基にして、対象市町村の患者数を予測した。また、15年の対象市町村の国民健康保険対象者の要支援・介護者数比率を、将来のその市町村の年齢構造に適用して、65歳以上の男女別5歳区分別の要支援・要介護者数を予測した。一方で、産業構造の予測結果を基に、産業大分類に占める保育士数、教員数、医師数、介護従事者数を現状の比率で固定して、将来の保育士数・教員数・医師数・介護従事者数を予測した。

その他、公有財産床面積、道路延長、農地面積、人工林面積なども現状のままと仮定している。

このように、未来カルテは今のままの傾向が将来にわたって変わらないとした場合に、人口減少によって何が起こるかを予測するものである。私は、この未来カルテの結果は、将来を当てるための予測ではなく、「気付きのための予測」であると位置付けている。