まなびじま奥尻 ―離島の町立高校の挑戦―(4) 「全島を学びの場」の実現に向け

eye-catch_1024-768_tawaraya_fin北海道奥尻高校校長 俵谷俊彦

8つの課題を克服し、さらに高校を魅力的にして、価値向上を図る――を大義に、「奥尻島をまるごと学校にして、地域を担う人材を育成し、高い進路希望も実現できる最先端の教育の実践」に着手した。町立移管直後の2016年4月、「まなびじま奥尻プロジェクト」と称して、全教職員にコンセプトを示した。具体的な行動指針として7つの取り組みを提示した。第1回で触れた町の課題の解決策である。

当初は「どうせ校長が勝手にやるものでしょう」という雰囲気があったのも事実。私自身も、コンセプトや行動指針を示したところで「さあ、皆で手分けしてやっていこう」という機運にならないのを十分に承知していた。協議を重ね、全員の教職員が納得する方向性を見いだし、徐々に学校改善を図っていくという、理想的な方法をあえて取らなかった。そのような方法では新しいものが生まれず、持続可能な取り組みにならない。島外からの生徒募集も、2、3年はかかると見越していた。

まちおこしワークショップで熱心に話を聞く生徒たち
まちおこしワークショップで熱心に話を聞く生徒たち

魅力化につながる学校改善と同時に、全国募集を進めていく。この壮大な計画を実現するには、ドラスティックに学校を変えていくリーダーシップと、一本筋の通ったビジョンが必要だ。それがなければ、時間を費やしても何も変わらないと判断した。

教職員には「まず私が企画・運営の全てを行いますので、協力できるところがあれば力を貸してください」と伝え、全国募集の準備と並行して、▽町おこしワークショップ▽奥尻パブリシティー▽イングリッシュ・サルーン▽島の房暖ロッジ取次団――の取り組みを、それぞれ進めていった。
「まなびじま奥尻」のコンセプトは、高校だけを学びの場とするのではなく、島にあるあらゆる教育資源を活用し、相乗効果を高めるケミストリーを生み出すというもの。実現するための代表的な活動が町おこしワークショップである。島内のさまざまな分野の代表者が講師として来校し、生徒に、その分野で解決できていない課題を3つ提示する。生徒たちは解決策を自分たちで考え、講師に伝える。

16年度の教育課程は15年度当初に決定されているため、この取り組みを教育課程に組み込むことはできなかった。そこでやむを得ず、昼休みの委員会活動として、わずかな時間を活用することにした。

1年目は昼休みの10~15分という変則的な導入(2年目以降は総合的な学習の時間)であったが、このワークショップこそが、結果的に生徒や教職員の意識を大きく変えるきっかけとなった。