未来カルテで見つめる2040年の日本(5) 未来ワークショップの参加者の反応

eye-catch_1024-768_kurasaka_fin千葉大学教授 倉阪 秀史

未来ワークショップの参加者は、ワークショップを体験する前と比べ、地域への貢献を考えたり、地域の問題に関心を持つようになったことが確認されている。

千葉県内の八千代や館山、松戸の各市で実施した未来ワークショップでは、「ワークショップへの参加を通して、あなたの気持ちにはどんな変化がありましたか」という質問を含む事後アンケートを実施した。表に掲げる項目について気持ちの変化を聞いたところ、「市にもっと貢献したい」という項目で、「ワークショップに参加したことで前よりそう思うようになった」を選んだ回答者の割合は、▽八千代75%▽館山89%、松戸86%――となり、全ての選択肢の中で最も多くなった。

未来ワークショップの参加者への事後アンケート結果
未来ワークショップの参加者への事後アンケート結果

また、「市の問題をもっと知りたい」の項目についても、全てのアンケートで7割を超える回答者が、「前よりそう思うようになった」と答えている。

中高生は判断能力がある程度培われていて、なおかつ、自分の将来についてまだ選択の余地がある世代でもある。この世代に、地域の課題に向き合う機会を与えることは極めて重要である。

しかしながら、中高生は受験勉強や部活動などで日々忙しく、このような機会が十分に確保されてこなかったのではないだろうか。

これまで、ワークショップを開催するに当たって最も難しかったのは、参加者を確保することだった。実施した各自治体の教育委員会を通じて、中学校にチラシを配布したり、県に協力機関として参画を依頼した上で、各高校にお願いに伺ったりして、やっとのことで参加者を集めたが、人数が十分確保できたとまではいえない。

文科省が15年10月29日に「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」という通知を出しているように、18歳に選挙権が引き下げられた関係で、学校教育において、政治的中立性を確保しつつ政治的教養を育む必要性が増している。

未来カルテを用いた未来ワークショップは、2040年という未来について統計データに基づく客観的なインプットを行い、それに基づいて、今何をすべきかを考えるもので、政治的な中立性を保ちつつ、地域社会への関心を高めることができるものである。

学校教育において、今後、活用が図られることを期待している。

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