まなびじま奥尻 ―離島の町立高校の挑戦―(5)町おこしワークショップの成果

eye-catch_1024-768_tawaraya_fin北海道奥尻高校校長 俵谷俊彦

「町おこしワークショップ」の講師の選定に当たっては、奥尻町教委の宮崎修一郎社会教育係長にハブとなってもらった。進路指導部で希望した講師リストに基づき、宮崎係長は町内の講師を全て手配してくれた。

町外の講師は、町立移管直後から全面的な支援をいただいている慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以降、慶應SDM)に所属する方々に講師になってもらった。

生徒たちの発表
生徒たちの発表

宮崎係長や慶應SDMの尽力により、さまざまな調整を経て、5月26日に初めてのワークショップが開催された。テーマは「ムーンライトマラソンの成功に何が必要か」。講師として招いた奥尻町観光協会の井口和広氏が3つの課題を生徒に提示した。それは(1)若年層へのアピールの足りなさ(2)運営者の高齢化(3)次年度のTシャツのデザインの在り方――である。生徒は一晩自分自身の考えをまとめ、翌日のワークショップでは、グループになり意見を出し合った。それぞれのグループは、井口氏に次々と解決案を提案していった。

「CM、SNS、小・中・高校の部活動の島外遠征等を利用して、奥尻の魅力やムーンライトマラソンを紹介する」「島の三大祭りで、ムーンライト参加Tシャツを着ていたら特典サービスを付ける」「中高生のボランティアや島外ボランティアを募集する」「町内ボランティアを募るために、移動手段のバスを増やす」「次年度のTシャツのデザインはポップ感を出したものを採用する」などの意見が出た。

驚いたのは、生徒たちの前のめりの態度だった。「自分たちの島のために何ができるか」、真剣に考え語る姿が私や教職員の目に焼き付いた。この後に実施された大会では、史上初めて、本校の生徒がボランティアとして9人も参加し、それ以外の関わりも含めて、12人が運営に協力した。

この後のワークショップは、▽「町民が喜ぶ行灯づくりとは」(同窓生、町教委)▽「奥尻観光産業は発展するのか」(町役場商工観光係)▽「奥尻での起業の在り方」(飲食業、エネルギー業、旅館業、奥尻ワイナリーなどの事業主計5人)▽「デザインマネジメント」(田子学慶應SDM特任教授)▽「スポーツセンシング」(橋口寛慶應SDM特任講師)――など、さまざまな分野から講師を招き、それぞれの課題について生徒たちは知見を得るとともに、自分なりの町の課題への意識を持つことになった。実は指導する教職員が、町の実態や課題を知ることにもなった。生徒を導く立場で、極上の研修となったのである。