未来カルテで見つめる2040年の日本(6)未来ワークショップの進め方① ― アイスブレーキング

eye-catch_1024-768_kurasaka_fin千葉大学教授 倉阪 秀史

初対面の人もいる参加型ワークショップでは、最初に、参加者が打ち解けて話せるようにする必要がある。これをアイスブレーキングという。

アイスブレーキングにはさまざまな手法がある。未来ワークショップでよく使うのが、「マトリクス自己紹介」といわれる手法である。

参加者に、A4の紙の中心に自分の名前と読み仮名を大きく書いてもらう。名前の周囲に、趣味、好きな音楽、好きな本、マイブーム、特技など、この話題なら話せるという自分に関するキーワードをたくさん書き出してもらう。その作業を行った後で、順番に、自分の紙を「よろしくお願いします」と言ってテーブルの真ん中に出し、他の人から質問を受ける形で、おおむね1人当たり4分程度の時間で自己紹介を行う。通常の自己紹介だと、名前と所属など、同じような情報を共有するだけで終わってしまうが、「マトリクス自己紹介」では、所属を超えたさまざまな情報が共有される。6人の班の場合には、おおむね30分程度時間がかかる。

未来ワークショップ作業帖(さぎょうちょう)のマトリクス自己紹介のページ
未来ワークショップ作業帖(さぎょうちょう)のマトリクス自己紹介のページ

時間がない場合には、「自己紹介+1」が適切である。これは、自己紹介と共に、あらかじめ指定された共通のテーマについて、一言話してもらうというものである。出身地のいいところ、最近はまっていること、行ってみたい場所など、話しやすいテーマを指定するといいだろう。この「自己紹介+1」ならば、10分程度で終わる。

「他己紹介」という方法もある。これは、2人ないし3人で組を作ってもらって、1人当たり3分で互いにインタビューを行い、インタビューした相手のことを班員全員に1分間で紹介する方法である。「他己紹介」は15分から20分かかる。

アイスブレーキングでは、体の動きを伴うものも効果的である。この例には、「並び替え」というものがある。これは、名字の五十音順、名前の五十音順、誕生日順などで、時計回りに座り直してもらうものである。荷物はそのままにして、全員立って並び替える。作業の遅い班が目立つことになり、ゲーム性もある。「並び替え」はテンポよく進めるので、5分でも場がほぐれる。ただ、名前で並び替える場合、別の手法であらかじめ自己紹介しておく必要がある。

アイスブレーキングをきちんと行うことが、ワークショップの成功の鍵である。楽しい雰囲気で進められるように、アイスブレーキングには十分な時間を取るのが望ましい。