小学校「外国語」の課題を考える(5)コミュニケーションに関する教師の指導力

eye-catch_1024-768_watanabe_fin国立教育政策研究所名誉所員 渡邉 寛治

「外国語活動」および「外国語」の目標は、外国語による「コミュニケーション力(資質・能力)」の素地および基礎の育成である。この目標を誤ると言語の聴き取りおよび語句や文型に慣れ親しむだけの授業になりがちだ。言語が聴き取れるようになり、語句や文型が定着しても、コミュニケーション(原義:分かち合うこと)を図る資質・能力が培われるわけではない。

担任および専科教員は児童のコミュニケーション力を育むために、どのようなコミュニケーション力を身に付ける必要があるか。小学校教育で教師に求められる指導力は、外国語力よりもコミュニケーション力である。この資質・能力を身に付ければ、授業を成功に導ける。

児童のオーラル(口頭)コミュニケーション力を養うには、児童に英語を用いてALTや担任、友達と「対話のやり取り」を体験させる必要がある。この積み重ねがないと直接コミュニケーション力は培われない。教師は、日頃より他教科等の授業を通して児童と豊かなコミュニケーションを図ることだ。具体的には、次の①~④に示す対話力の基礎を身に付けたい。学習指導要領に示されているように、外国語(英語)によるコミュニケーション力を養うには、児童に「言語の働き」に基づくコミュニケーション体験をさせる。

①あいさつをする、相づちを打つ、聞き直す、繰り返す、などのコミュニケーションを円滑にする②自分の気持ちや考え、意図を(理由を添えて)伝える③事実や情報を伝える④質問したり依頼したりして相手の行動を促す」など。

「How are you?」 と言われたら、「Fine, thank you. And you?」のように、礼を述べると同時に相手にも尋ねる。英語圏では、感謝の気持ちを言葉ではっきり伝え分かち合う。円滑なコミュニケーションを重視するからである。

国際的なコミュニケーションの場で求められる考えを形成、整理、再構築し伝える力は、②と③の言語の働きである。例えば、「What do you want to be?(将来、何になりたい?)」─「Teacher!」 ─「Why?」─「Because I like PE.(体育が好きだから)I want to be a PE teacher.」において、自分の考えや意図を理由も添えて応答する対話は、双方が十分に分かち合うためである。英語特有の論理的なコミュニケーションの一つである。

④の「質問する」は、国際的な異文化コミュニケーションでは当たり前である。①~④は、豊かなコミュニケーションを楽しむ上での基礎的な言語機能であり、学習指導要領で求めている「主体的・対話的な学び」へと広がる。