未来カルテで見つめる2040年の日本(7)未来ワークショップの進め方②―未来カルテをどう伝えるか

eye-catch_1024-768_kurasaka_fin千葉大学教授 倉阪 秀史

アイスブレーキングの後は、未来カルテの内容を参加者に伝える。未来カルテの内容は、人口、産業、保育・教育、介護・医療、人工物の維持管理、農地・林地、エネルギー、財政など多岐にわたる。未来ワークショップでは、未来カルテ情報に加えて、災害(その土地の地震確率)や温暖化といったリスクについての情報も伝達する。

外部講師を招くなどして地域固有の課題を伝える場合もある。例えば、千葉県市原市では、市内の南部の田園地帯での課題(人口減・イノシシ)、市域の14%を占めるゴルフ場の課題などを伝えた。同県八千代市では、古くなったニュータウンなど、同県館山市では、移住促進や農漁業といった話題を伝えた。八千代市と館山市では、市の郷土博物館の担当者に、将来に残したい歴史についても話をしてもらった。

未来ワークショップ作業帖(さぎょうちょう)のメモ部分と書き出された質問(まつど未来ワークショップ)
未来ワークショップ作業帖(さぎょうちょう)のメモ部分と書き出された質問(まつど未来ワークショップ)

市原市のワークショップを実施する前に、大学生を対象に試行してみたところ、参加者の提言がイノシシとゴルフ場に偏ってしまった。最後の方に与えられた情報が印象に残り、参加者の提言が引きずられてしまったものと考えられる。このため、項目ごとにメモを残して、メモを見ながら政策提言を考える「作業帖(ちょう)方式」を導入した。項目ごとに説明した後、必ず2~3分間作業帖にメモを取る時間を設けたのである。あらかじめ、項目ごとに枠を設けた作業帖を用意しておくとよい。この際に「この作業帖は提出を求めないので自由にメモを取ってください」という声掛けを行うようにする。「作業帖方式」を導入した結果、全ての項目について政策提言が検討されるようになった。多岐にわたる情報を参加者に伝えるためには「作業帖方式」が有効である。

説明後に質問を受け付けるのも重要だ。未来ワークショップでは、小さな紙を渡して、作業帖を見ながら質問を書き出してもらう。その際に、1つの質問につき1枚の紙を用いるように伝える。これは、質問をカテゴリー別に整理できるようにするためである。未来ワークショップでは、出された質問を昼休みの時間などに項目別に分類して写真を撮り、その写真を映写しながら質問に回答している。

これまでの未来ワークショップは、おおむね1日間で実施してきたため、午前中にインプットを行って、午後にアウトプットを行うという日程で進めてきたが、学校の現場で未来ワークショップを実施する場合には、インプットの後に、調べ学習などを組み合わせることもできるだろう。

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