小学校「外国語」の課題を考える(6)ALT活用の意義とその効果

eye-catch_1024-768_watanabe_fin国立教育政策研究所名誉所員 渡邉 寛治

小学校の「外国語活動」「外国語」は、主にオーラル・コミュニケーション力(資質・能力)を養うことを目標とする。口頭で「分かち合うこと」の資質・能力の素地および基礎を育む。英語圏のALTとのTT体制でコミュニケーション活動を行うことが望まれる。

(1)日本語ではなく外国語ゆえ、ネイティブ・スピーカーの生の言語や文化に触れる意味は大きい。言葉だけでなく、彼らの文化、考え方や表現の仕方など、日本文化および日本人の考え方との違いなどに気付くきっかけになる。この教育環境は国際人を育成する上で意義深い。

(2)ALTの多くは「個(アイデンティティー)」を重視するコミュニケーションを好む。ALTはコミュニケーション活動を通して、その価値観を児童にも求める。「このことについて、○○はどう思うの?」などという対話を好む。児童も自分自身の考えを意識的に持つようになる。ALTとのコミュニケーションを通して「主体性(自分で思考、判断、表現・行動すること)」の素地・基礎が培われる。

(3)ALTの多くは、伝達内容を分かりやすく整理してコミュニケーションを図る。通常トピックセンテンス(話題の文)を述べた後、事例や事実を挙げたりして具体的に伝える。曖昧な言い方を好まない。「なぜ?」と問われると戸惑う日本人が多いが、ALTとのコミュニケーションを通して考えや情報を分かりやすく形成、整理して伝えることの大切さを体験する。

(4)ALTの多くは、誰とでも積極的にコミュニケーションを図ろうとする。この積極的な態度(資質)は、国際人としての必須要素である。中高の学習指導要領「外国語」では、1990年より目標の一つとしてその育成を明示している。この資質は思春期の中高生の特性もあり期待通りには育成されていない。文科省は2011年度より小学校の「外国語活動」の重点事項として取り組んできた。その結果、ALTを導入し児童の主体性を重視した小学校では「自己発揮」する子供の姿が見られるようになった。

ALTは、外国語を用いて活動する場面や状況において、適宜取り入れると効果的である。授業の中心者は担任であっても、あいさつをはじめ、担任との対話のデモンストレーション、活動中における児童との対話のやり取りなど、適宜活用したい。

担任や専科教員だけで「外国語活動」を行う学校や地域があるが、上記のような教育成果はあるのだろうか。子供にとって、真に意味のある教育をしたいものである。