まなびじま奥尻 ―離島の町立高校の挑戦―(8)塾なしでも最先端の進学体制

eye-catch_1024-768_tawaraya_fin北海道奥尻高校校長 俵谷俊彦

Wifiニーネー

島留学の全国募集の取り組みと並行して行った学校改革は、進学指導の強化であった。それがWifiニーネーである。Wifiニーネーとは、インターネットでつながる首都圏の難関大学の学生のことだ。彼らによる生徒の個別指導を行うわけである。大学進学を希望する生徒が、Wifiニーネーから、スカイプを通して週に1時間程度、大学受験に関する種々の相談や教科に関するアドバイスをもらう。

この構想を打ち立てるに当たり、実現に向けて札幌にある複数の大学を訪問した。案内チラシを配布し、Wifiニーネーに関わる学生を募った。1カ月たっても、大学生の応募はなかった。

ダメ元で生徒と協働でプロジェクトを行っていた慶應大学の学生に相談、同学湘南藤沢キャンパスの学生を紹介してもらえることになった。彼女たちに初代のWifiニーネーに就任してもらうことになった。

Wifiニーネー
Wifiニーネー

早速、大学進学を目指す2人の3年生に対し、約半年にわたって、彼女の得意とする英語の解法を中心に、受験対策を助言してもらった。その支援は非常に大きかった。本校の進学講習もあるので貢献は量的に測れないが、1人は国公立大学に合格、もう1人は私立大学の農業系学部に特待生として合格した。

後者の生徒は、3年生になるまで進学を考えておらず、成績も振るわなかったのだが、Wifiニーネーに出会ってからの努力は目を見張るものがあった。本人によれば、Wifiニーネーの彼女と顔を見合わせて話していると、大学生活や大学での学びがどういうものか、具体的にイメージでき、大学進学へのモチベーションが上がったという。

Wifiニーネー導入2年目の17年度には、奥尻高校公式フェイスブックでWifiニーネーを公募、6人の応募があった。慶應大学、京都大学、早稲田大学、京都府立大学、帯広畜産大学の学生、そして、名古屋大学大学院准教授も手を挙げてくれた。今年は、国公立大学への進学を希望する3人の生徒のうち、2人が見事合格した。

町立移管後の進路指導部や教員が、次々と生徒目線に立った実効性のある取り組みを「まなびじま奥尻プロジェクト」に加えてきた。10時間以上の連続耐久学習会「まなびづけ」の実施、数学の校外での塾形式の講習「寺子屋」などである。積極的・主体的に学習する態度を確実に育てており、本校のキャリア教育3年計画を確実に具現化している。高大接続改革に向けて、次年度の教科シラバスには、すでに対策が記されてもいる。