未来カルテで見つめる2040年の日本(9)教育現場における活用の可能性

eye-catch_1024-768_kurasaka_fin千葉大学教授 倉阪 秀史

これまでわれわれの研究プロジェクトで実施してきた未来ワークショップは、市町村が主体となり、参加する中高生を募って実施するタイプのものであった。しかし、中学校や高校の教育プログラムの一環としても実施できるものと考えている。

2017年3月に改訂された「新学習指導要領」は、21年度から中学校において全面実施される。先日告示された高校の学習指導要領も、22年度以降、年次進行で実施される。中教審初等中等教育分科会教育課程部会「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」では、新学習指導要領は「対話や議論を通じて、自分の考えを根拠とともに伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めたり、集団としての考えを発展させたり、他者への思いやりを持って多様な人々と協働したりしていくことができること」を狙いの1つとしている。

また、「人口減少下でのさまざまな地域課題の解決に向けても、社会に開かれた学校での学びが、子供たち自身の生き方や地域貢献につながっていくとともに、地域が総がかりで子供の成長を応援し、そこで生まれる絆を地域活性化の基盤としていくという好循環をもたらす」とも述べられている。

未来市長から現市長への政策提言の様子(たてやま未来ワークショップ)
未来市長から現市長への政策提言の様子(たてやま未来ワークショップ)

連載第5回で述べたように、参加者アンケートから、未来ワークショップへの参加によって、以前よりも、地域への貢献を考えたり、地域の問題に関心を持つようになったりすることが確認されている。

高校においては、18歳選挙権に対応した政治的素養の教育も求められるようになった。15年10月に文科省が出した「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」という通知によれば、「政治的教養の教育は、学習指導要領に基づいて、校長を中心に学校として指導のねらいを明確にし、系統的、計画的な指導計画を立てて実施すること」とされている。ただし「指導に当たっては、学校が政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、より一層具体的かつ実践的な指導を行うこと」という留意事項も付せられている。

未来ワークショップは、2040年の未来についてデータに基づく情報を提供し、その情報に基づいて未来市長として政策提言を考えるものである。

2040年という未来を取り扱っているため、政治的な偏りは発生せず、公正中立的な立場で生徒を指導することができる。