まなびじま奥尻 ―離島の町立高校の挑戦―(9)クラウドファンディングとプログラミング教育

eye-catch_1024-768_tawaraya_fin北海道奥尻高校校長 俵谷俊彦

離島にある本校では、部活動の活性化も大きな課題の一つであった。対外試合、他校交流を島に呼び込む「北の巌流島プロジェクト」として、1年目は延べ7校が本校を訪れ、多くの交流を持った。しかし、まだ島外での交流、特に遠征費の問題が残っていた。北海道函館市の高校と練習試合を1回するにしても、日帰りはできない。フェリー代、バスの貸し切り代、宿泊代、食事代などで遠征費が1人当たり約2万円以上もかかるのだ。

2年目である今年度、夏休み明けのある集会で生徒全員に言った。「君たちとこれまで多くの課題を克服してきた。どうしても克服できない問題がある。遠征費の問題だ。仲間の遠征費確保のために動きたい人はいないか」。後日、3人の生徒が手を挙げた。彼らは、クラウドファンディングによる資金調達を決め、早速動き出した。返礼品は自分たちがデザインしたTシャツだ。それぞれ、後輩、同級生のためにという思いで、Tシャツのデザインを考え、原価から販売価格、目標金額、広報の内容なども検討を重ね、インターネット上でクラウドファンディングを開始した。182人から支援を受け、目標の120万円を大きく上回る総額158万6900円が集まった。この結果は驚きとともに、全国から多くの反響を呼んだ。

生徒たちはクラウドファンディングで部活動遠征費を集めた
生徒たちはクラウドファンディングで部活動遠征費を集めた

2年目の挑戦として取り組んだものは、(株)日立インフォメーションアカデミーとの「島で稼ぎ暮らせる人材を育てるプログラミング教育」の共同開発である。1年目に取り組んだ慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科との共同調査で、データ分析の講師を務めていた同社社員の大黒健一氏との話から始まった。

「島で稼ぎ暮らせる人材を育成するのは喫緊の課題だ。奥尻島と本州が光ケーブルでつながっているメリットを生かして、自分でアプリケーションを作り商売ができるプログラミング教育が必要だ」という私の考えに大黒氏が共鳴、同社の強力なバックアップを受けて、そのプログラミング教育の共同開発にこぎ着けた。17年3月から、本校の情報科の担当教諭3人と、同社の有志メンバー9人が、Web会議システムによる遠隔会議を重ね、18年1月までにプログラム授業の教材と23時間の指導案を完成した。

教材は、IoT時代に対応するプログラミングツール「Node-RED」を活用したもの。時代の先端を行くものである。ついに、2月21日、その最初の授業が行われた。映像モニターに映る同社社員の助言ももらいながら、生徒たちは最先端の授業を楽しそうに学んだ。

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