まなびじま奥尻 ―離島の町立高校の挑戦―(10)今後に向けて―さらなる「まなびじま奥尻」へ―

eye-catch_1024-768_tawaraya_fin北海道奥尻高校校長 俵谷俊彦

2年目の大きな動きとして、学校経営の面では、「連携型中高一貫教育」への移行がある。町立移管した翌年の2017年4月から、町内に2校あった中学校が統合され、高校の校舎とつながった新設の中学校校舎に移転した。

6カ年の「CAN―DOリスト」を作成し、上級生が下級生に教えたり助言したりするメンタリングシステムを取り入れ、中高一貫を進めている。中高合同の理科の授業では、実験の手順や測定方法を、体育のプールの授業では、高校3年生がスキューバダイビングで活用するシュノーケリングの手順を、ピアサポート演習では傾聴スキルなど、高校生が直接中学生に教えている。高校生は教えることにより深い学びを体感し、中学生は年齢の近い先輩に聞けるという気軽な雰囲気の中で学びを深めている。

中高連携のピアサポートの授業風景
中高連携のピアサポートの授業風景

読者の皆さまには、これまで長文にもかかわらず最後までお読みいただき、心から感謝したい。まとめとして、今求められている、地域社会に開かれた教育課程について触れたい。本校では、町おこしワークショップを皮切りに、地域理解、地域協力の段階にとどまらず、その実践は早くも地域振興のステージに近づいてきた。カリキュラムマネジメントは、校長主導の1年目から、徐々に分掌での組織的な運営へと移行した。改善サイクルについても、学校評価はもちろんのこと、まなびじま奥尻プロジェクトに関する生徒アンケートも実施。課題を把握し改善につなげており、持続可能なシステムになりつつある。高大接続入試改革の対応では、具体の指導と評価の計画を各教科で立案するようにした。18年度入学生用の各教科シラバスにも記載され、新入生を迎えた。

同プロジェクトの成果を知る一つの調査結果がある。2年前に本校に入学した、今年の卒業生たちは、入学当初のアンケートでは全員が「将来島に戻らない」と回答していた。卒業直前のアンケートでは、約半数の生徒が「将来島に戻って生活したい」、ほぼ全員が「奥尻町に愛着と誇りを持つようになった」と回答している。変容に、教員は感動した。

本校の実践などに関する多くの報道は、前年度比6千人増という町の交流人口の増加にも貢献しているという声や、「高校生があれだけ頑張ってんだもん、大人も負けられねえべや」との声が町民から多く上がるなど、町が高校生たちによって、少しずつ動き出している。

これからも、奥尻島の最高学府として、地域創生につながる教育デザインマネジメントとは何かを、本校教職員と研究・実践していきたい。(おわり)