未来カルテで見つめる2040年の日本(10)教育プログラムとしての未来ワークショップの応用

eye-catch_1024-768_kurasaka_fin千葉大学教授 倉阪 秀史

未来ワークショップは、これまでのところ開催地の市町村と協力しつつ、参加者を公募する形で実施してきた。今後は、その教育効果に鑑みて、中学校や高校のプログラムの一環として実施できないかと考えている。

未来ワークショップを実施するためには、進行するファシリテーターの存在が不可欠である。ファシリテーターは、本連載でも触れたような進行手順を習得する必要がある。

このため、われわれの研究プロジェクトでは、「未来ワークショップファシリテーター養成講座」を開催している。2018年2月には、都内で第1回養成講座を開催、41人の修了者が誕生した。来年度は関西地域で開催する予定である。

これまでの未来ワークショップは、おおむね1日で実施してきた。最初の「いちはら未来ワークショップ」は、1日目に街歩きを行い、2日目にワークショップを行う形で、2日間で実施したが、2日のワークショップに参加する中高生を公募で集めることが難しく、それ以降は1日の実施としてきた。今後、教育現場で実施する場合には、参加者を集める作業が不要となるため、より教育効果が高まるように実施スケジュールを工夫できるだろう。

中高連携のピアサポートの授業風景
中高連携のピアサポートの授業風景

例えば、(1)未来カルテの情報を学び、作業帖(さぎょうちょう)を作成する(2)市町村の担当者などの外部講師から市町村独自の課題を学ぶ(3)未来市長が直面する課題を書き出すワークショップを行う(4)テーマ別に班分けをして、書き出した課題に関する調べ学習を行う(5)調べ学習の報告会を行う(6)政策検討ワークショップを実施する(7)市町村の担当者を呼んで報告会を行う――といった構成で、7コマほどのプログラムを展開することができる。

また、「若者の農業就業者が毎年X人増加した場合、地域の耕作放棄地がどのくらい減少するか」「子供連れの移住者が毎年X家族増加すれば、人口が安定化するか」など、提言された政策が実現した場合に未来がどのように変わるか、未来カルテを作成するためのシミュレーターにフィードバックして検討することもできる。

未来ワークショップのベースとなる未来カルテについては、随時、研究プロジェクトのウェブサイトを通じて、継続的に提供する予定である。上記のファシリテーター養成講座の情報などもこのサイトを見てほしい。未来カルテを活用して、地域の将来に関心を持つ若者を育てる取り組みに参画していただける中学校や高校が増えるのを心から期待している。(おわり)

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