学校の働き方改革の実現と職員・専門スタッフへの期待(1)「働き方改革」までの流れ

eye-catch_1024-768_katou_finR茨城大学教職大学院准教授 加藤 崇英

昨今、「働き方改革」の議論そのものは急速に高まってきた印象を受けます。きっかけは若手社員の過労自殺事件でした。現在は労働力の需要が高まる一方で担い手は不足しています。しかし、いわゆる「売り手市場」のムードというよりは、こうした事件によって過重労働の問題、さらには過労死や過労自殺の防止への視点がクローズアップされています。

労働法制の関係についても「罰則付き時間外労働の上限規制」や「勤務間インターバル制度」などを含んだ「時間外労働の上限規制等に関する政労使提案」(2017年3月)が示されて以降、議論が重ねられており、今国会では「働き方改革関連法案」を巡って大詰めを迎えています。

教育界でいえば、教員の働く環境を問題視し、これを変えようという動きは、いわゆる「チーム学校」の議論と並行してなされてきました。「チーム学校」の議論のきっかけの一つには、いわゆる教員の多忙化問題がありました。

日本が参加した、OECD(経済協力開発機構)によるTALIS(国際教員指導環境調査)の第2回調査結果(14年公表)では、日本の教員が他の先進諸国に比して勤務時間が長いことが明らかになりました。そこでは授業やその準備に掛ける時間にそれほど違いがない点から、授業や児童生徒への指導以外の業務、すなわち教員の本務である教育業務ではない業務の負担が多いことが明白になりました。

中央教育審議会「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(15年12月21日)の答申は、新たな学校における組織協働の在り方に関して提言を行いました。具体的な審議の中心は、私も委員として関わった「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」が担いました。

同答申の議論までは、同時に、教員の多忙化解消に関する検討も課題にしていました。同作業部会が「中間まとめ」を出したのと同じタイミングで「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して」(文科省、15年7月)が示されたのはそうした経緯もありました。

このように「チーム学校」の議論を軸として業務の見直しや教員の負担軽減の議論がなされているところに、いわゆる「働き方改革」が大きな流れとして立ち現れました。いわば、学校の業務改善や教員の負担軽減の議論は、国全体の「働き方改革」の議論に合流することになったといえます。

「チーム学校」の議論では、新たな職員・専門スタッフの配置が期待されてきました。「働き方改革」は、恐らく主たる成果として勤務時間の適正化と長時間労働の是正が求められます。一見、「人が配置され、仕事が軽減され、時間が短くなる」という端的な考え方に思われますが、学校の現状が変わるには、そう単純に行きません。