米国国務省 招聘プログラム参加リポート(2)ケンタッキー州のICT教育

eye-catch_1024-768_komiyama_fin教育新聞特任解説委員 小宮山 利恵子(リクルート次世代教育研究院院長)

第2回はケンタッキー州教育省を訪問した様子を紹介したい。

同州は米中東部に位置する州で、人口は約445万人。前回の大統領選ではトランプ氏への投票率が62.5%で、主要都市であるルイビルとレキシントンだけが民主党支持という保守王国である。

保守というと、伝統的な教育を重んじテクノロジーにはあまり関心がないものと考えていたが、様相は全く違った。

現在、州では“Digital Learning”に注力しており、州内にある全ての学校が高速Wi-Fi環境を有する。これは全米でも唯一で、その内95%が1人1台やBring Your Own Device(自分が持つデバイスを学校で利用すること・BYOD)に対応するため、高密度ネットワークWi-Fiがあるというから驚きだ。

事実、州内の75%の学区がBYODを容認している。それに加えて、州内で1つの教育プラットホームがWEB上で設定され、教員は1人1メールアドレスを持ち、そこで教員たちが教材をアップして、他の学校の教員が利用できるようになっている。

また、それには財務システムも搭載されているため、どこの学校がいつどのような物をいくらで購入したかが一目で分かるようになっており、州が備品等購入に際してアドバイスすることもできる。

ケンタッキー州教育省でのミーティング
ケンタッキー州教育省でのミーティング

“Single Contract”と呼ばれるシステムを採用し、学区の大小にかかわらず同じ物を同じ価格で購入できるようにしているのも特徴だ。

教員や親対象に、教育にテクノロジーが入ることについてもアンケート調査を行っており、今年1月に発表されたものでは、90%の教員と87%の親が、テクノロジーの教育利用は学びに役立つと答えている。

州の“Digital Learning”に注力する方針が、末端まで届いている証左だ。また90%の学区で、子供たちが少なくとも1つのオンライン授業を受講しているとの調査結果が示されており、テクノロジーを利用した教育が浸透していることが分かる。

また毎年“Student Technology Leadership Program”と呼ばれるSTEAM教育に関連した州が出資するコンペを開催している。その目的は、子供たちにテクノロジーを使って何かを生み出すという喜びを知ってほしいというもの。1日のみのイベントだが、昨年は1万4千人が参加し、内4割が女子とのこと。STEAM教育の女子参加促進が叫ばれる中で、注目に値する施策ではないか。

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