米国国務省 招聘プログラム参加リポート(3)マサチューセッツ州のOpen Education Resources

eye-catch_1024-768_komiyama_fin教育新聞特任解説委員 小宮山 利恵子(リクルート次世代教育研究院院長)

今回は、マサチューセッツ州の教育省訪問時に説明を受けた、同州の教科書デジタル化について紹介したい。

今年2月23日、デジタル教科書を正式な教科書として位置付ける学校教育法改正案が閣議決定され、来年4月から施行される予定だ。

文科省が同月20日に発表した「平成28年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によれば、デジタル教科書の整備状況は小学校52.1%、中学校58.2%、義務教育学校59.1%、高校12.5%、中等教育学校41.8%、特別支援学校12.8%。都道府県別では佐賀県が98.7%で、最も低い北海道の16.5%と82.2ポイントの開きがあり、都道府県ごとにかなりの差があることが分かる。デジタル教科書が法で正式な教科書として位置付けられることで、普及が加速すると考えられる。

大学での例となるが、米国では1年間にかかる教科書代は平均1200ドル(約12万円)とされており、学生にとってかなりの負担になっている。学費の高騰が大きな問題となっている米国では、教科書代についても議論が活発だ。

米国ではOERが利用されつつある
米国ではOERが利用されつつある

マサチューセッツ州ではThe Massachusetts Community Colleges Go Open Projectを開始し、教科書をネット上のプラットホーム上に格納して、学生が自由に利用できるようにした。その結果、州内にある大学の115の学部から9千人の大学1年生が利用し、計120万ドル(約1億2千万円)分の教科書代を節約ができた。

同プロジェクトの根底に流れているのは、Open Education Resources(OER)という考えだ。

教育に関する共有財を作ることを目的とし、複数のライセンス下で再構成、再配布などができることが条件として挙げられている。内容は多岐にわたり、カリキュラムの資料、教科書、学習管理システムからコンテンツを開発するツールまでさまざまだ。

ただ、このOERの実施には多くの課題があった。例えば、ネットアクセスの公平性の担保をどうするか、どのようにコンテンツを収集するか、教科書出版会社からの抵抗など。日本ではまだOERの考えが普及していないが、もう既に次世代の学びのツールとして米国では利用されつつある。

日本においてもMOOCsが展開されているが、誰でも入学できるということで、そこにあるコンテンツのライセンスは開放されていないため、OERとしては位置付けられていない。