米国国務省 招聘プログラム参加リポート(4)MITにおける反転授業と「Residential MITx」

eye-catch_1024-768_komiyama_fin教育新聞特任解説委員 小宮山 利恵子(リクルート次世代教育研究院院長)

MITでデジタルラーニングの責任者を勤めつつ、物理学を教えるDr.クリシュナ・ラジャゴパル教授から、現在MITで行われている授業について話を聞いた。

MITでは数年前から多くの授業で反転授業を用いており、「物理1&2」「統計と確率」「コンピューターサイエンス入門」「貧困への挑戦」「文化の可視化」など、テーマも幅広い。

具体的な手順は、例えば「統計と確率」の授業ではオンラインで授業に必要な本を読み、理解度を測る簡単なテスト受講までを予習として行う。実際の授業では、冒頭で予習してきた内容で重要だと思う点について学生たちが発表した後、ディスカッションを行う。

MIT式授業について語るラジャゴパル教授
MIT式授業について語るラジャゴパル教授

以前はレクチャー型だったが、現在はそのような光景はなく、グループごとにホワイトボードの周りに集まって議論している光景が普通だ。

反転授業について学生たちは、「人に教えることによってより学ぶ機会が増え理解が深まる」と考えており、教授たちは「学生だけではなく私たちにとっても、従来の授業形態よりも楽しい。過去のレクチャー型の授業には、もう戻れない」という考えを持っているという。

また、その定量的な効果について考えてみると、「構造学素子」という授業では、2012年秋の段階で従来のレクチャー型の授業を行い、その内容を90%以上理解していた学生は10%にすぎなかったのに対し、13年秋にレクチャー型と反転授業型を併用したところ、その数字は50%に上昇。15年秋に併用型を継続したところ、その数字は56%となった。

これらから分かったのは、反転授業を取り入れることで、学生たちはすぐに自分の間違いに気付き、それを修正することで、授業内容の理解が深まるということ。一方で、併用型ではなく反転授業だけにしてしまうと、「自主的に学ぶことが確立されていない1年生にとっては、混乱を招く可能性がある」と同教授は語った。

なお、学生たちの予習をサポートするシステムとして、MITの学生なら誰でも使えるオンライン上のプラットホーム「Residential MITx」がある。そこには教授たち自らが授業を行った動画が多数投稿されていたり、予習や宿題で使えるであろう膨大なコンテンツが掲載されている。学部生の96%が、授業に利用しているというから驚きだ。

オンラインを用いた学びの可能性は、日に日に広がっている。

(おわり)

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