中学校道徳科の授業―道徳的判断力を養う―(1)「特別の教科 道徳」が始まる

修正:eye-catch_togami東京都品川区品川学園 主任教諭 戸上 琢也

いよいよこの4月から、「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)が、全国の小学校でスタートした。初めて道徳科の教科書が導入され、評価もすることになる。中学校でも同様に、来年度から全面実施となる。

「年間35時間をどのように計画していけばよいのか」「どのように教科書を用いていけばよいのか」「ねらいとする道徳的価値に迫るためにどのような工夫をすればよいのか」「今までの道徳の時間とどこが違うのか」「評価はどうしたらよいのか」――など、学校現場からは、さまざまな声が聞こえてくる。

教科化を前に、私自身も「学び直し」の時期を迎えていると感じていた。そこで一昨年度、自分自身の今までの実践を省察するとともに、道徳教育や道徳科についてさらなる研さんを積むため、東京都の長期派遣研修制度の一環である教員研究生として、学校現場を離れて道徳科の指導方法の研究を行った。

現在は、東京教師道場(中学校・道徳科)のリーダー(助言者)として、現役教員の先生方と月1回の授業研究を行い、後進の育成を行いつつ、自らも共に学ばせていただいている。

本連載では、この研究の成果を用いた、道徳科における「主体的・対話的で深い学び」の授業実践を中心に、多様な指導方法の工夫や発問の工夫、道徳科における評価などについて紹介していく。

問題解決的な学習の議論を通じて判断力を高める
問題解決的な学習の議論を通じて判断力を高める

さて、道徳科の授業では、道徳的諸価値の理解を基に、生徒が直面するさまざまな状況において、何が問題かを見極め、自分はどうすべきか、自分に何ができるかなどを判断し、実行する手だてを考え、実践できるようにする改善が求められている。

また、昨年3月に告示された中学校学習指導要領でも「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善が示された。道徳科においても、どのように「主体的・対話的で深い学び」を実現していくかが、「考え、議論する道徳」への質的転換の鍵となるだろう。

そこで私は、問題解決的な学習に着目し、自分自身の問題として考え、議論できるような道徳科の授業の工夫を考えた。

特に、議論の中で道徳上の問題に対する自分自身の考えについて、その理由や根拠をしっかりと述べ合うことで、道徳的な判断力が磨かれ、高まっていくと考えた(図)。