新スタートでつまずかない~若手教員に贈るメッセージ~(1)マイナスの出来事をプラスに変える

修正eye-catch_oomae京都文教大学准教授 大前 曉政

若い頃は誰だって学級経営に苦しみます。自分の指導力不足で学級が荒れることもあるでしょう。毎日のようにマイナスの出来事が起きます。けんかが始まったり、子供が授業に集中しなかったり、物が壊れたりといった具合です。5月の連休ごろになると、若い教師は疲弊してしまいます。「どうして自分の学級は騒がしくて毎日マイナスの出来事ばかり起きるのだろう」と。

実はマイナスの出来事は、若い教師の学級だけで発生しているのではありません。どの学級でも毎日、起きているのです。そのマイナスの出来事が起きた後が、若い教師とベテラン教師とでは違うのです。

若い教師は、マイナスの出来事を嘆き、力不足だと責任を感じて疲弊してしまいます。ベテランは「マイナスの出来事」が起きたら「指導のチャンスが来た」と考えます。マイナスの出来事を指導により、よい教育の場に変えるのです。マイナスの出来事を教育の場に変える、これこそが教師の仕事なのです。

例えば、ある子が運動場の遊び方のルールを破って木を折ってしまったとしましょう。「また、こんなことをして」と叱って終わりにするのはもったいないのです。せっかくの指導の機会です。本人の学びに変えられるかどうかがポイントなのです。話を聞くと、本人は悪いとは思っていません。少しふざけてしまって、たまたま木が折れたといった様子です。まずはその子の言い分を聞きます。言い訳を聞くといってもよいでしょう。言い訳を聞いてあげることで子供は満足します。

そして、教える行為に移ります。学校では庭園で遊んではいけないルールがあること、なぜ庭園で遊んではいけないのか、教えます。なぜだめなのか、その理由を教えることは大切です。自分の命は一人の命ではないこと。友達をけがさせてしまうかもしれないことを伝えます。

そして、「学校の物を壊してしまったのだから」と校長先生に謝罪に行きます。担任も一緒に謝罪します。こういった体験を通してしか、自分でやったことの重みは理解させられません。最後に子供に「次からどうすればよいと思う」と尋ねます。庭園で遊ばないことや学校のルールには意味があるので守ることなどが出るでしょう。それを思い切りほめます。「次からはきっと大丈夫。A君ならルールを守って遊べるよ」と励まします。さらに、この出来事を学級全体に広げます。学級全員の学びになります。またA君が失敗してルールを破ることがあるかもしれません。しかし、このときの指導が生きるのです。

こうして、マイナスの出来事も長い目で見ればプラスに働く出来事に変わります。マイナスの出来事は毎日起きます。一つでも多くプラスに働く出来事に変えることが大切なのです。