中学校道徳科の授業―道徳的判断力を養う―(2)付せん紙を用いた問題解決的な道徳科学習

修正:eye-catch_togami東京都品川区品川学園 主任教諭 戸上 琢也

道徳的な判断力の育成に当たっては、教材を通して、さまざまな状況の中で何が問題かを見極め、解決していく学習過程が大切である。そのための有効な指導法の工夫として、「中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」に示されている、問題解決的な学習が挙げられる。

道徳科における問題解決的な学習とは、生徒同士による協働的な話し合い(議論)を通して、道徳上の問題を多面的・多角的に考え、主体的に判断し、生徒一人一人が答えを導き出すことである。問題解決的な学習における議論では、生徒同士が自分の考えになかったものを取り入れたり、相手の考えを尊重したりし、よりよい判断をすることが重要になる。

そこで、主に授業で実践している学習過程を図に示す。展開の中で、問題意識を引き出すため、生徒同士の感想の交流をしながら、生徒が印象に残った場面に関する主人公の行動について問い(主体的な学び)、教材を通して価値理解を深める。

その後、ねらいに迫るための中心的な場面で、自分自身のこととして考えを深めさせるために、「もし、あなただったら、どうするか」という課題に導き、根拠を基にした議論を行う(対話的な学び)。この議論の中で、判断の根拠を比較・検討する学習活動を取り入れ、生徒が多面的・多角的に考えられるようにする。

最後に、他者との議論を経て、もう一度課題について、自分なりに考えたことをまとめる(深い学び)――というものである。

道徳的判断力を育む学習指導過程
道徳的判断力を育む学習指導過程

それでは、私が考えた「判断の根拠を比較・検討する学習活動」とはどういうものか。これには4つのSTEPがある。

STEP1「考える」では、課題に対する自分の考えを青色の付せん紙に、その根拠や理由をワークシートに記入する。

STEP2「発表する」は、4人程度の小集団になり、自分の考えを発表する段階である。

STEP3「意見する」では、他者の考えに対して、自分の考えや意見を述べる。この際、他者の考えに共感したことを赤色の付せん紙に、もっと詳しく聞きたいことを黄色の付せん紙に記入するようにし、生徒はそれらを基に議論していく。

そして、この活動で最も重要なのがSTEP4「再考する」である。議論を通して、自分とは異なる価値に気付いたことを基に、もう一度課題について考え直す段階を設定する。こうすることによって、生徒一人一人が、自分の考えを見直し、自分なりのよりよい判断(納得解)を持つことができると考える。