新スタートでつまずかない~若手教員に贈るメッセージ~(2)全体の方向性をよい流れにする

修正eye-catch_oomae京都文教大学准教授 大前 曉政

学級の荒れが目立ち始めると、ほめる回数が減ってきます。叱る方が増えるためです。毎日叱っているという人もいるかもしれません。叱る声も日に日に大きくなっていきます。大きな声でないと子供が言うことを聞かないからです。表情も怖くなります。叱られた子は気分が不安定になり、さらに荒れます。この悪循環を断ち切らなくてはなりません。

ここであえて言いたいのです。「子供の頑張りを見つけて、ほめるのが教師の仕事である」と。では、どうやったらほめられるのでしょうか。まず、全体に指示を出します。指示は端的に出します。「新しい漢字を三つずつ練習していきなさい」という程度の指示を出します。全体に指示が伝わると作業を始める子が出てきます。この子の動きを見取って「さっと始めている人がいて、すばらしいですね」などとほめるのです。他にもほめるところはあります。鉛筆がとんがっている、姿勢がいい、丁寧に書いている、枠いっぱいに大きな字を書いているなど、頑張りを認め、ほめていきます。

すると、全体が漢字練習を頑張る方向に動き始めます。荒れた子はなかなか始めませんし、おしゃべりをしているかもしれません。それは後で指導すればよいのです。とにかく、まず全体をよい方向性に進ませるのです。教室の8割がきちんと漢字練習を始めたところで、できていない子に個別に指導していきます。「B君、鉛筆を出して始めなさい」「Cさん、一つずつ丁寧に書くのですよ」といった具合です。

学級の荒れが目立つようになっても、頑張っている子はいます。その子をきちんと見取って、頑張りを認め励ましていくようにしたいのです。教師がほめた方向に教室の流れが傾いていきます。よい方向の流れを生み出せたら子供たちはそこに向かって進むものです。ほめることで、よい方向性を定めつつ、よい流れを生み出すのです。だからこそ、学級が荒れていようが荒れていまいが「子供の頑張りを見つけて、ほめるのが教師の仕事」なのです。

学級が荒れるほど、ほめにくくなるのは分かります。ルール違反の行動が「先に」目に付くからです。友達へのいじわるや人間として許せない行為など、絶対に許せない行動をしていたら先に指導するのが大切です。おしゃべりをしているとか、手遊びをしているとか、そういう一人相撲の行為はこの際、無視していいのです。全体をよい方向に進ませる雰囲気をつくるためにほめることが大切です。