新スタートでつまずかない~若手教員に贈るメッセージ~(4)よい行動モデルを周囲に波及

修正eye-catch_oomae京都文教大学准教授 大前 曉政

荒れた子が少しずつ頑張るようになると、周りの子供たちも変わってきます。「あの子が頑張っているのだから、自分も頑張ろう」と思うからです。友達の頑張りは、周りの子供に伝わっていくのです。子供の頑張りは、学級全体に伝えた方がよいのです。

「D君は、教室の掃除を丁寧にやってくれています。先生はとてもうれしいです」「Eさんは、体育の前に早めに来てくれて準備を手伝ってくれました。ありがとう。みんなのために行動できてすごいと思いました」

前向きな行動を認め、褒めていきます。感謝の言葉だけでも、子供はうれしいものです。小さな頑張りでいいのです。頑張りを認めて、褒めているうちに、よい行動が波及していきます。

授業でも同じです。「読書感想文を原稿用紙1枚は最低書きましょう」という課題を出したとします。書き方は事前に教えます。例えば、「まず、全体を読んでの感想を書きましょう。先生は、この物語を読んで、○○だなあと感じました」と具体例を示します。次に、一番印象に残った場面を選ばせます。先生だったら、この場面を選びますと実際に選んでみせます。そして、「先生がこの場面を選んだのは、この場面とよく似た思い出があるからです。昔ね、こんなことがありました……」と教師のエピソードを聞かせます。友達とすれ違ってしまって、けんかをして、後で誤解が解けて仲直りできたことを話したとしましょう。「この場面を読んでいて、それを思い出しました。もし、印象的な場面で、何か思い出した出来事があればそれを書きましょう」。教師自身の具体例を示しながら、少しずつ感想文を進めていきます。

教えながらだと、どの子も感想文を書くことができます。最初は、原稿用紙1枚でも多いと感じていた子が「あれっ、原稿用紙1枚ぐらいは余裕で書けそうだな」と思えてきます。そして、原稿用紙1枚を超えている人が出てきます。これを見取って、活動の途中で思い切り褒めるのです。「すごい!E君は、原稿用紙1枚とプラス2行も書けているよ!」と。これを聞いた子供たちは「よーし、自分ももう少し頑張ろう」と思います。そしてその頑張りを認めて褒めていきます。さらに他の子供も頑張るようになります。終わってみると、原稿用紙1枚の感想文は全員が達成、なおかつ2枚や3枚の人も出てくるのです。

教師が丁寧に教えることで、どの子も進んで活動することができます。今度は、頑張っている子を見つけて、それを周りに紹介することで、頑張りを波及させていくのです。友達が頑張っていることは、子供に非常に大きな刺激になります。