京都文教大学准教授 大前 曉政
学級が荒れてくると、教師の言うことを聞かない子が増えてきます。授業中も私語が多くなります。このままでは、学級がどんどん荒れていくと予想できます。こういうときは、何らかのルールを徹底することが大切になります。
簡単なルールでいいのです。例えば、「ノート作業をしているときは黙ってその作業に集中する」でもかまいません。視写教材や漢字練習、感想文、計算練習、教師の板書を写すなど、さまざまなノート作業の場があります。このとき「ノートを書くときは黙って書きなさい」と指示します。
学級が荒れてくると、それでもおしゃべりをする子がいることでしょう。そこで、「Eさんは静かにできていてすばらしいです」「F君、黙って書くのですよ」と徹底します。
とにかく、このノート作業のときは静かにさせるのです。譲らないのです。すると、ノート作業をする瞬間だけ静かに集中する時間が訪れます。ルールが定着したのです。
騒がしい学級でも、ノート作業の瞬間は静寂が訪れます。授業では頻繁にノート作業の時間があるはずです。1時間の授業で何度か静寂の時間があるわけです。
ルールを一つでも徹底して、どの子も守るようになると「荒れに向かっていた学級」が「落ち着いた学級」へかじを切るようになります。つまり、ベクトルが良い方向へと変わるのです。
教師が大切にしたいと思える点は譲らずに徹底することで、だんだんと荒れは収まってくるのです。特に、学級のルールで教師が大切だと思うことは徹底すべきです。
こう考えると、学級が荒れていた理由も明らかになってきます。若い教師ほど「自由な学級をつくろう」と思っています。そして、少々のルール破りならよいかと認めてしまっているのです。この「少々」を認めていると、今度は「落ち着いた学級」から「荒れた学級」へとかじが切られるのです。「自由な学級がよい」子供もそう思っていることでしょう。確かに、子供が伸び伸びと自由に活動している状態はすばらしいものです。しかし、大切な規律は徹底しなければいけないのです。もちろん、ルールでがんじがらめになっている学級がよい学級なのではありません。
自由で伸び伸びとした雰囲気の学級をつくっている先生はたくさんいます。しかし、そういった自由な学級でも、大切な規律だけは徹底しているのです。