新スタートでつまずかない~若手教員に贈るメッセージ~(7)前と比べ向上した点を伝えよう

修正eye-catch_oomae京都文教大学准教授 大前 曉政

子供は日々成長しています。その成長に子供自身が気付いていないことが多々あるのです。子供は急激に成長することもありますが、多くの場合、少しずつ薄皮をはぐように成長していきます。いつも宿題をやってこなかった子が今回は一部だけやってきたという具合です。いつも過ちを認めない子が、比較的早く「すみませんでした」と言えたケースもあります。

微々たる成長が日々あるのです。その子のことを知らない人から見れば、ほとんど成長していないように思えます。教師こそがこの少しの向上に気付かなくてはなりません。その向上を本人に伝えるのです。

本人も自覚していないような微々たる成長を「前よりもここがよくなったよ」と、明確に伝えるのです。子供は、次もその点を意識して頑張るようになります。一気に変化は訪れません。少し頑張る程度ですが、さらなる成長のきっかけになるのです。

教室では、日々、子供の成長が見られます。音読のときに少し声が大きくなったとか、前より少しだけ粘り強く問題を考えるようになったとか、微々たる向上がどの子にも訪れています。それを見つけ、ほめることが大切です。その向上具合を高めていくのが教師の仕事です。

例えば、自分の意見をなかなか人に伝えられない子供がいるとしましょう。まず授業の中で意見を伝える練習をすればよいのです。国語の授業で自分なりの解釈をノートに書かせます。書かせる時間は十分に取り、教師のところに持ってこさせます。この時点で自分なりの意見を書けている点をほめます。次に意見の交換に移ります。一人ずつ、ノートに書いた自分の解釈を発表させます。

ペアや4人班で意見交換をさせる程度なら簡単にできます。その後、相手の意見への感想や自分の考えをノートに書かせます。再び発表の時間を取りましょう。

教師が意図的に「相手に自分の意見を伝える場」を用意することで、自分の意見を伝えるのが苦手だった子も意見を言うことができます。頑張って意見を伝えたことを取り上げて個別に褒めればよいのです。教師が前と比べて向上できる場を意図的に用意し、向上した事実を本人に意識的に伝え向上を加速させていきます。保護者に伝えることも大切になります。保護者も案外、子供の向上に気付いていないことがあるのです。

だからこそ、保護者懇談会や家庭訪問では、その子の向上を詳しく伝えるべきなのです。その子が前と比べて向上したことは日々メモに取り、記録しておくことが効果的です。