新スタートでつまずかない~若手教員に贈るメッセージ~(8)子供のモデルになろう

修正eye-catch_oomae京都文教大学准教授 大前 曉政

子供は大人の背中を見て育つといわれます。低学年の子供ほど、教師から大きな影響を受けます。子供は近くの大人の態度や言動を見て、いろいろなことを学んでいるのです。子供は知らず知らず、教師をモデルにして行動するようになります。元気にあいさつする教師の下、元気にあいさつする子供が育つわけです。反対にあいさつもしない教師の下では、あいさつする子供は育ちません。

どんな教師も子供を成長させたいと願っています。「こんなふうに成長してほしい」「こんな子供に育ってほしい」と願いを持っています。その願いの中身はさまざまです。さまざまな願いが合わさって、教師は「こんな子供に育ってほしい」と考えているわけです。そんな教師が思い描く「理想の子供像」を教師自身が具現化できているかがポイントです。「積極的に発表しなさい」と子供に言ったなら「教師である自分ができているだろうか」と振り返る必要があるのです。「掃除を丁寧にやりなさい」と言ったら、「自分自身も丁寧にやっているだろうか」と考えるのです。

他にも、「困っている友達や弱い立場の友達がいたら助けなさい」「苦手なことでも粘り強くやり遂げなさい」「自分の意見はしっかりと言いなさい」など、いろいろと子供に言っているはずです。全てできる教師はいないかもしれません。少なくとも自分が言っていることに教師自身が近付く努力をする姿勢が必要です。苦手なピアノや家庭科の裁縫に一生懸命取り組んでいた教師の下で、自然と苦手なことでも諦めずに取り組む子供が育ちます。

若い教師の失敗例で多いのは、「教師が駄目なモデルをあえて示して笑いを取る」場合です。教師がふざけてルールを破ったり、人をばかにしたりすることで笑いを取ろうとしますが、結局、悪影響しかありません。

教師はよい大人のモデルであるべきです。「駄目なことは駄目と言う」「ルールやマナー、モラルを守る」「最後まで子供を励まし続ける」「凛(りん)としている」「人一倍の努力を続けている」といった具合です。こういう教師像は、ひと昔前の頑固職人のようなものです。この職人教師が受け持つと荒れた子は不思議と落ち着きます。特別支援を要し、どんな教師が担任しても暴れて教室を飛び出していた子が、落ち着いて授業を受けるようになるのです。

これは、頑固な職人教師の態度や言動が子供によい影響を与えるからです。若い教師は、まず自分がよい大人のモデルになることを最低限の出発点にしなくてはならないのです。