「困った子」は「困っている子」(2)困っている子供を理解する

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

特別支援教育を進めるに当たり、一番重要だったのは教師の意識改革です。まず、子供の理解の仕方を学びました。

発達障害の可能性のある児童生徒は、学習のつまずきや人間関係でのトラブルが起こりやすく、特に、学校生活の中では顕著となり、教師も対応に苦慮します。そうなると、困った行動の原因を本人の努力不足やわがまま、家庭のしつけの問題に求めがちです。

しかし、発達障害は脳の機能障害であること、その特性は本人を取り巻く状況の良し悪しに左右されることが明らかになっています。教師にとって「困った子」は、見方を変えると「一番困っているのは本人」だったのです。この認識の転換は、全ての改革の出発点でした。

例えば、読み書きにつまずきのある子の場合、「面倒くさい」「やっても無駄」という否定的な態度で取り組まないことが多く見られます。行動の背景には読み書きの困難さが隠れています。そのことに気付かないと「態度が悪い」「意欲が低い子」と思われ、「もっとちゃんと練習しなさい」と注意されるだけです。困難の背景が理解できれば、有効な対応策が見いだせます。

友達とのトラブルが絶えない子は、その背景には状況理解の悪さや、コミュニケーションの苦手さが隠れていることが多くあります。「友達と仲良くしなくちゃダメ」を何度繰り返しても、行動は変わりません。むしろ、「先生は僕のことを分かってくれない」という思いが募るばかりです。そうした場合はトラブルの経緯を聞き取って、状況や相手の気持ちを解説してあげることが必要です。

「話を聞いていない」「一度で理解しない」子は、聴覚的な情報のキャッチが難しいのかもしれません。教師の話を短く分かりやすくし、視覚的な情報提示を同時に行えば、理解しやすくなるでしょう。

離席してしまう子、学校に来られなくなる子、学習が身に付かない子など気になる子に出会ったら、教師はその困難さの背景を探る(アセスメント)ことが大切です。

正確なアセスメントがあって初めて、それを生かす対応策を見いだすことができます。アセスメントは子供の側に立って発達の状況やつまずきに配慮した学習場面を提供するためのものです。探るだけのアセスメントにならないよう心したいものです。

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