中学校道徳科の授業―道徳的判断力を養う―(9)道徳科における評価の工夫

修正:eye-catch_togami東京都品川区品川学園 主任教諭 戸上 琢也

道徳科の全面実施に当たって、先生方が一番気になっていることは「評価」だろう。皆さんは、評価と聞いて、何をイメージするだろうか。通知表や指導要録を思い浮かべたり、ともすると「評定」をイメージする先生方も多いと思われる。

しかし、通知表や指導要録に示されたものだけが評価ではない。授業前に生徒の現状を把握することも評価であるし、授業中の生徒への声掛けやワークシートへのコメントも評価である。あるいは、授業中の生徒同士のやりとりの中で、感想や意見を述べ、生徒相互に評価している場面も評価であるとみられる。

学習指導要領やその解説では、評価について「生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすように努める。ただし、数値などによる評価は行わないものとする」「生徒の成長を見守り、努力を認めたり、励ましたりすることによって、生徒が自らの成長を実感し、さらに意欲的に取り組もうとするきっかけとなるような評価を目指す」と書かれている。

これからの評価についての考え

道徳科の評価の視点については、道徳科の目標に照らし合わせ「他者の考え方や議論に触れ、自律的に思考する中で、一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか」の視点で評価することが明示されている。

私は評価を難しく考える必要はないと考える。学習状況や道徳性に係る成長の様子について目標や視点に照らし、その生徒に対して教師が共感したところや気付いた点を応援メッセージとして返していけばよい。授業ごとに行う教師の声掛けやワークシートへのコメントの積み重ねによって、生徒は成長を実感できるようになる。また、そのコメントの蓄積が、通知表などに記載する評価にも生かされてくる。

もちろん、他者としっかり考えたり、議論したりできるような指導の工夫があって、評価が充実することを忘れてはいけない。ワークシートだけで評価するのではなく、さまざまな生徒にも対応するために、気になった生徒の表情や生徒の動き、発言を記録しておく工夫も必要である。

中学校では教科担任制を生かして学年の教師全員で道徳科の時間を担当し、いろいろな教師が生徒を見取ることも工夫の一つである。複数の教師が一定期間、道徳科の授業を行うのであれば、生徒名簿のファイルに各教師が気になった点を「一言メモ」にして記録しておくことで、学期末や学年末の評価にも生かされる。

今後、私たちは、さらによりよい指導と評価にしていくためにも、指導を工夫することはもちろん、多面的・多角的に生徒を見取る評価力を研修で磨いていかなければならない。