世界の教育はいま~各国の教育ICT化から見えるもの(1)急激に変化を遂げた海外の教育現場

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

情報社会の発展は目覚ましく、教育現場にも社会の変化に対応した方法が取り込まれている先進国が少なくない。私は中学、高校、大学での教員経験を生かし、実践者と研究者の両方の観点で、さまざまな海外の学校を調査している。今回の連載では、ここ5年ほどの海外の教育現場を紹介したい。授業のデジタル化だけにとどまらず、教務室の様子や保護者へのインタビューなども交え、ICT教育への各国の取り組み、各国の教師の働き方についても書いていきたい。

海外の先進的な事例を紹介すると、「それはあくまでその国だからできることではないか」「そもそも日本とは国の背景が違うだろう」と言われることがある。しかし、グローバル社会に生きざるを得ない子供たちを教える教員ならば、海外の動向を把握しておく必要はあると感じている。

例えば、国語の授業も日本とはかなり違う。小学校の国語の授業は常にパソコン教室で行うエストニア。授業中に自分のタブレット端末を使って録音し、保護者に共有する音読をしたり、創作活動を重視し小説を書いてネット上でシェアしたりするスウェーデン。その結果として他国の小学生からコメントが来ることもある。

同じ単元の授業がどう行われるのか、ネットをつないで他のクラスの意見を参考にできるオーストラリア。シェークスピアを習う一方で、自分でシナリオを書き、映像を撮影してアプリで編集し、その動画を見せ合うことが10年以上も前にあったカナダ。ニュース動画を見て討論する授業が2007年から始まっている韓国。プロジェクトベースの学習スタイルで、2教科3教科と合科で学習者同士がコラボレーションして授業を行うフィンランド。

新教科が新設されている事例もある。英国では日本の教科「情報」に当たる「コンピューティング」が、小学校段階(日本でいう年長)から行われる。ニュージーランドでは「デジタル・テクノロジー」という教科が新設された。このように世界では小学校の低学年から教科で情報リテラシーの概念を学んだり、プログラミングを行ったりする国が少なくないのである。

5年前に行った学校を再訪してみると、同じ教室でも相当な変化が起こっていることにも驚いている。世界各国では子供たちの将来に何が必要なのかを常に考え、ICTを使った教育方法、教育目標や内容を更新していることが分かる。