「困った子」は「困っている子」(4)学校環境を整える

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

計画的、組織的な対応が教育活動の根幹です。次の視点で学校環境を整えました。

(1)校内委員会の機能を高める
校長のリーダーシップの下、複数のコーディネーターが役割分担し、週1回の校内委員会で困っている子の早期発見・早期対応、継続支援を実施します。

(2)指導の一本化
教師のばらばらな指導方法が、変化に弱い子には大きなストレスとなります。そこで、基本的な指導の方法を学校として一本化しました。「5分前行動」や「あいさつ」「話の聴き方」などルールや約束は、学校の文化として定着させていきました。

(3)専門家との連携
子供の多様性に的確に対応するためには、専門家の知見が必要です。子供の観察、アセスメント、対応策の検討、保護者との面談に専門家は欠かせません。第三者が入ることで、保護者と学校が同じ方向を向いて子供のために考え、教師も自信を持って指導に当たれるようになります。

こうした学校環境を整える場合、重点を置くのは1年生です。早期発見・早期対応が子供の「困難さ」を防ぐからです。

A君は発達障害と診断され、幼稚園では介助員が付いていました。小学校に介助員はいません。入学前から保護者や本人と面談を重ねました。

式などの行事ではパニックになることが多いとの保護者の情報を基に、入学式への対応を相談しました。A君のさまざまな行動を想定し、座席の位置や担当の教員の配置、想定した行動への対応策を決めます。実際に入学式が始まると、A君は椅子の上に立ち上がって後ろを向きました。想定内です。担当の教師が「誰か探してるの?」「うん、お母さん」。そこで教師は、お母さんに合図。お母さんがいることが分かってA君は、安心して椅子に座り、その後はみんなと一緒に参加することができました。もし、椅子に立ったとき、「だめだめ」と席に座らせようとしたらパニックになっていたことでしょう。

子供の気持ちや行動を想定して的確に対応することで、A君の自尊感情は傷つかずに済んだのです。その後も、さまざまな心配事は起こりましたが、担任と共に学年、管理職、コーディネーターが連携して対応策を考え、観察・評価し、改善を重ねました。

1年生に重点を置いた見取りと対応が、学校を変えていきます。